【ICTが変える高齢化社会:5】介護者を支援する「パワードスーツ」 画像 【ICTが変える高齢化社会:5】介護者を支援する「パワードスーツ」

IT業務効率

 少子高齢化に伴う労働人口の減少に対して、ロボットや補助デバイスの活用が研究されている。この問題にいちばん近い業界が、医療・介護関連ビジネスだ。老人ホームや在宅介護といった分野において、ITによる効率化、介護補助デバイスによる作業支援が急務とされている。

 静岡市に本社をおく「アサヒサンクリーン」は、訪問型サービス、通所・滞在型サービスといった福祉事業を展開。東京理科大学との共同研究で「マッスルスーツ」を開発し、実際の業務に導入している。

 このスーツは圧縮空気で動作する人工筋肉によって、介護者の力仕事を支援する装着型の支援器具だ。寝たきりの高齢者を入浴させたり、床ずれ防止の体位入れ替えを行ったり、移動させたりするため、介護者はかなりの重労働を強いられる。この動作を機械がサポートしてくれれば、その負担を軽減するだけでなく、事故防止などにもなる。

■50代の介護者でも使えるスーツ

 そもそも、同社がマッスルスーツを開発しようとしたのは、主力事業のひとつである訪問入浴サービスでの問題解決からだ。流通と介護は2大腰痛産業ともいわれ、介護者の多くが重労働や無理な体制での力仕事で腰を痛めている。入浴の介護では、病院ならばリフトと呼ばれる補助施設が使えるだろう。しかし、訪問入力では浴槽を室内まで運び、被介護者を抱き上げる必要があった。

 このため同社では、貴重な人材が腰痛で辞めることも少なくなかったという。人手不足と高齢化が直撃する中で、従業員が長く働ける環境づくりが急務とされていた。軽くて持ち運び可能で水にも強いリフトについての相談をメーカーに持ちかける中。最終的には東京理科大が研究していた「マッスルスーツ」がほぼ条件に合致し、共同で開発を進めることになった。

 スーツの開発で重要だったのは、持ち上げ動作、中腰・前傾ホールド機能、入浴介護のための耐水性能。そして50代の介護者でも使いやすいことだ。マッスルスーツは構造がシンプルで、モーターではなく圧縮空気を使うので水にも強い。腰の保護に重点をおいたため、操作も装着も簡単だ。

《中尾真二/HANJO HANJO編集部》

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