公共にソリューション提供、新たな市場開拓のチャンス! 画像 公共にソリューション提供、新たな市場開拓のチャンス!

制度・ビジネスチャンス

 05年4月に施行された最初の公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)は、価格と価格以外の要素を加味する総合評価方式の入札を原則化したことで、多くの自治体が同方式を取り入れるなど一定の成果を上げた。ただ、受発注者双方にとって負担が重く、画一的で硬直的な制度運用が時代のニーズや政策目的に対応し切れていないといった問題も指摘されるようになっていた。
 14年6月施行の改正公共工事品確法は、こうした課題に対応し、用意された各種の方式を工事の性格や地域の実情に合わせて選択または組み合わせる「多様な入札・契約方式」の活用を明記した。複数年契約、包括発注、共同受注といった社会資本の維持管理に対応した方式や、設計・施工一括発注方式、設計段階から施工者が技術協力者として関与するECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式、発注者を支援するCM(コンストラクションマネジメント)方式などの活用が想定されている。
 国土交通省のモデル事業は、経験のない方式を採用しようとする自治体を支援する。といっても、最初から決まった方式を前提とするのではなく、各自治体が抱える悩みや課題に対してアドバイスをするのが特色。各自治体に送り込まれる支援者は、官民の事業で培った知見を生かし、入札・契約方式の切り口で的確な解決策を示すことが期待される。
 モデル事業を担当する国交省の三浦逸広入札制度企画指導室長は「公共工事におけるソリューション(課題解決)の提供といえる」と強調。多様な入札・契約方式の導入を民間事業者の立場に置き換えて考えると、公共に寄り添った新たな市場開拓のチャンスにもなり得るという。
 実際、15年度のモデル事業で国交省と契約した日建設計コンストラクション・マネジメントを支援者に迎え、体育館の建て替え事業にECI方式を導入した水戸市は、16年度も引き続き同社と独自に随意契約を締結。設計者(大建設計)や施工者となる技術協力者(清水建設)が実施設計をまとめる際の調整役を担ってもらう考えで、契約に向けた庁内への説明や合意形成を進めている。
 14、15年度に愛知県新城市、東京都府中市、同清瀬市の3団体を支援した明豊ファシリティワークスは、「CMr(コンストラクションマネジャー)の経験の中で築いたプロセスを含めて事業管理ができる組織や人材を生かし、自治体のお手伝いをできると考えた」(坂田明社長)という。
 清瀬市の庁舎建て替えに導入したCM方式の公告で、発注者、CMr、設計者、工事監理者、施工者の「役割分担表」を提示したことへの評価は高い。坂田社長は「民間事業では『星取り表』と呼ぶ。それぞれの役割に抜け・漏れがないかをお示しすることを提案した」と話す。コスト管理やリスク分担にもシビアな外資系の事業にもたけた同社のノウハウが生かされた一例だ。
 モデル事業は、各支援者が民間事業で培った知見を公共に効果的に取り込むきっかけにもなる。
 国交省は、3年目に入ったモデル事業の候補自治体を募集中だ。25日には、これまでの成果を伝える報告会を開く。
 (編集部「多様な入札契約」取材班)

多様な入札モデル事業・下/公共にソリューション提供/新たな市場開拓のチャンス

《日刊建設工業新聞》

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