【ICTが変える高齢化社会:4】遠隔医療、シーズでなくニーズを 画像 【ICTが変える高齢化社会:4】遠隔医療、シーズでなくニーズを

IT業務効率

 厚生労働省は15年8月、「情報通信機器を用いた診療」に関する通達を各都道府県知事に通知。遠隔医療の幅が広がったとして、医療機器メーカーや通信機器メーカーなど業界がにわかに活気づいた。

 高齢化社会が進む中で注目されている在宅医療。その中で安心して医療が受けられる環境を作る上では、遠隔医療が果たす役割は大きい。産業界もIoTや最新のネットワーク技術を活用して、新しい機器やサービスの市場が広がるのではと期待している。では、中小企業にとって遠隔医療、遠隔介護は有望な市場なのだろうか? 日本遠隔医療学会 常務理事の長谷川高志氏は、この現状について語っている。

「昨年8月の厚労省の通達で遠隔医療が広く解禁されたように見えます。しかし、注意しなければならないのは、行政・制度・運用・市場といった社会的インフラの整備が足りていないことです。IoTやネットワーク技術を生かす市場として有望な応用分野ですが、派手な部分とそうでない部分の見極めが重要でしょう」

■遠隔医療の最新マーケット事情

 現在、遠隔医療の分野でもっとも広がっているのは、CTやMRIの画像分析だ。大学病院や総合病院などで処理されるこれらの画像は、院内での解析では追いつかず、提携している病院や専門機関、企業にデータを送って処理している。処理件数の年間200万枚以上とビジネスとしても一定の規模だという。

 それに続くのが通信+ログ機能を内蔵したペースメーカー、およびホルター心電図(通信機能を内蔵した24時間つけたまま利用する心電図)の常時遠隔モニタリングだ。とはいえ、この分野はまだまだ成長過程のため、活用事例はまだ多いとはいえない。

「現在では遠隔医療・介護ともに、必要な技術やネットワークで困ることはありません。そのため、必要なのはどんなシステムやサービスが求められているか。既存の機器を組み合わせてビジネスモデルを組み立てる、インテグレーションの設計が問われています」

 その上で、治療や医療そのものではなく、周辺分野からのアプローチで遠隔サービスが伸びる余地があると長谷川氏は話す。

「画像解析やペースメーカー、テレビ電話による診察、遠隔治療といった世界は、大手や先行企業の取り組みで需要が満たされています。そこを無理に広げようとするより、治療の前段階である介護や保健指導の分野から、リモートサービスを普及させていくほうが現実的でしょう」

《中尾真二/HANJO HANJO編集部》

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