【東北の農林水産業】地元の木材にこだわる県森連の復興建築 画像 【東北の農林水産業】地元の木材にこだわる県森連の復興建築

インバウンド・地域活性

 2011年3月11日、東日本大震災が発生。沿岸部を津波にさらわれた宮城県で、森林組合連合会(以下「県森連」)が最初に取り組んだのは仮設住宅の設営だった。

 震災直後の4月、宮城県が公募した応急仮設住宅案に、県森連は木造仮設住宅を提案。仮設住宅というとプレハブの建物をイメージするが、県森連は地元の木材にこだわった。事業に関わった県森連の福井啓次氏には、夏冬の気温差や湿度の面でも木造建築が住みやすいことには自信があったという。

「やはり、こだわりたかったのは地元の木材を使うことでした。被災した地元の大工や工務店、各業者に参加してもらい、復興や雇用を促進できればと考えたんです」

 これに賛同したのが南三陸町で、6月には県森連が建てた仮設住宅を南三陸町が買い取るという売買契約が交わされる。まずは、1棟に5世帯が入る長屋タイプの木造仮設住宅が3棟建てられることになり、8月には建物が完成。入居した被災者からは「木の香りがしてプレハブと暖かみがまったく違う。とても住みやすい」と、すぐに喜びの声があがった。

 この木造仮設住宅の評判は南三陸町の上層部にも伝わった。翌12年1月、南三陸町から、今度は本設である「災害公営住宅」を、すべて戸建で行いたいとの計画が持ちかけられた。この家は終の住処となるかもしれない。ならば、長く住めるような建物にしたいという願いからの依頼だった。

 県森連は4月に南三陸町の建設業協会や森林組合と共に、新たに南三陸町木造災害公営住宅建設推進協議会(以下「協議会」)を設立。5月には南三陸町と協議会で基本協定が締結された。

 応急仮設住宅の時と同じく、完成した家屋は南三陸町が買い取ってもらう方式となる。その数は全部で92棟にも及び、総額約20億円となった。その事業資金は100%、農林中央金庫の融資でまかなわれている。

■災害公営住宅は「終の住処」

 しかし、災害公営住宅は、仮設住宅の時のようにすぐに建てられるものではなかった。まず問題になったのが、どこに作るのか。南三陸町の海沿いは津波で甚大な被害を受けた。今後のことを考えると、もう同じ場所には建てられない。とはいえ、都合のいい高台は存在せず、山を切り崩して宅地造成をする必要があった。

《板谷智/HANJO HANJO編集部》

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