自治体の入札モデル事業、技術者不足や工期制約に対応 画像 自治体の入札モデル事業、技術者不足や工期制約に対応

制度・ビジネスチャンス

 自治体の多様な入札・契約方式の導入・活用を支援する国土交通省のモデル事業が3年目に入った。公共発注者は、国交省のような数万人の技術者がいる組織から、一人も技術者がいない自治体までさまざま。同じ規模の工事を発注する場合でも、状況に見合ったやり方がある。モデル事業では、国交省が選定した支援事業者を送り込み、工事の性格や地域の実情に応じた最適手法の実現を後押ししている。(編集部「多様な入札契約」取材班)
 多様な入札・契約は改正公共工事品質確保促進法(公共工事品確法)に位置付けられた。モデル事業は、同法にも明記された新たな方式を導入するのにノウハウが不足する自治体を支援する目的で14年度に創設された。
 東京の多摩北東部にある清瀬市は、1973年に竣工した市役所庁舎が老朽化。数年前から建て替えの検討を重ねてきた。建て替えは現庁舎新築以来の大事業だが、多くの自治体と同様、技術を持つ人材が十分ではない。1級建築士の資格者を1人採用したが、それでも質・量とも満足できる状態ではなかった。
 手探り状態で建て替えを検討する中、国交省のモデル事業を知り、早速応募。支援事業者の明豊ファシリティワークスに市の実情を話して相談を重ね、発注者の委任を受けた事業者が事業の進ちょくやコストを管理するコンストラクションマネジメント(CM)方式を取り入れることにした。
 茨城県中部にある県庁所在地の水戸市は、19年の茨城国体でレスリングやフェンシングの競技会場となる東町運動公園体育館の建て替えを計画。国体までの完成が至上命令だが、土地の高低差が5メートルもある難しい条件を抱えながら工期、コスト、品質の調和が取れた施設を造る必要がある。市はこうした事業に適した手法の一つとされる施工者が設計段階から関与する優先交渉権者技術協力方式(ECI=アーリー・コントラクター・インボルブメント)を採用することにした。
 ただ、同方式に関するノウハウが市にはなく、15年4月に開かれた国交省のモデル事業報告会に担当者が参加。支援事業者の助言を受けながらECI方式を導入した自治体の話を聞き、期待を込めてモデル事業に応募。支援事業者の日建設計コンストラクション・マネジメントから実施要領作りや評価方法などのアドバイスを受けて具体化を図った。
 14年度に支援事業者の日本工営の助言を受け、地域維持型除雪制度を検討したのは秋田県大仙市。積雪地域で除雪業務の継続が重要課題。モデル事業の成果として15年度、従来は単体企業に発注していた除雪業務を市内3地域でJVに一括委託する方式を試行した。一部地域では道路維持を含む包括発注も試みた。16年度は8地域に拡大。17年度には複数年契約も取り入れ、オペレーター確保など将来にわたる除雪体制の維持に役立てる。
 各自治体が抱える課題はそれぞれ異なり、最適な入札・契約方式の導入・活用が解決の糸口になる。3年目のモデル事業では、どんな悩みを抱える自治体が手を挙げるのか-。

多様な入札モデル事業・上/地域の課題解決へ助言/技術者不足や工期制約に対応

《日刊建設工業新聞》

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