東北地区の15年度公共工事で請負額が5年ぶりに減少 画像 東北地区の15年度公共工事で請負額が5年ぶりに減少

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 東日本建設業保証がまとめた15年度の公共工事前払金保証統計で、東日本大震災の復興工事が続く東北地区で請負金額が5年ぶりに減少したことが明らかになった。建設業界では「復旧・復興工事の発注はピークを越え、手持ち工事の消化を進めている」(準大手ゼネコン)との見方でほぼ一致しており、被災地の建設市場の潮目が変わったことを裏付けた。業界各社の今後の事業戦略にも影響が出てきそうだ。
 統計によると、同社が15年度に前払金保証を取り扱った東北地区の工事などの請負金額は前年度比9・4%減の2兆5114億円にとどまった。減少額は2614億円で、福島県だけで2052億円減った。発注者別に見ると、国土交通省東北地方整備局関係の請負金額が115億円減少、放射能除染工事を行っている環境省福島環境再生事務所関係も610億円減った。自治体も宮城県が336億円減少。福島県内の市町村の減少額は1123億円に達した。
 震災が起きた10年度の請負金額は1兆0082億円。以降は復旧・復興工事で増加基調となり、14年度は、15年度を含む過去10年の中で最高の2兆7729億円に達していた。
 ある準大手ゼネコンの関係者は「工事の消化に追われている。拠点の人員は変えていない」と現状を説明するが、今年に入り、ゼネコンや道路会社、建設関連メーカーとも東北の支社・支店のトップ交代に踏み切ったところが目立つ。工事需要の地域格差が開きつつあり、全国ベースで人員体制を再考している企業が少なくないようだ。東北地区では民間工事の需要に期待する企業もあるが、震災前の水準へのソフトランディングを模索する動きや、震災でストップしていた体制整備が加速する可能性がある。
 地域建設業者からは「膨れた手持ち工事がしぼむのに対応できないと、倒産する会社も出てくるだろう」(建設業協会幹部)と危惧する声や、体制や経営マインドの転換が必要との意見が出ている。被災地の建設関係団体の中には、復旧・復興工事の増加に伴い会員企業が増えた組織もあるが、ある団体のトップは、工事量の減少を見据え「再編しないと乗り切れない」と言い切る。
 復旧・復興工事に支えられてきた建設市場の潮流変化で、企業・団体の対応も今後、慌ただしさを増しそうだ。

東北地区の15年度公共工事/請負額5年ぶり減少、各社の事業戦略に影響/東保証

《日刊建設工業新聞》

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