「東京圏の今後の都市鉄道のあり方」に異論!反論! 画像 「東京圏の今後の都市鉄道のあり方」に異論!反論!

制度・ビジネスチャンス

 交通政策審議会(交政審、国土交通相の諮問機関)の小委員会が7日に公表した「東京圏の今後の都市鉄道のあり方」に関する答申案に対し、これに盛り込まれた鉄道整備事業が位置する首都圏の地方自治体からさまざまな意見が出ている。「早期の事業着手への弾みとなる」と評価する声もあれば、「(答申が)決定した段階で内容を詳細に分析する」と冷静な受け止め方もある。自治体からの提案とは別に、新たな交通機能の検討が行われることへの期待が示されたのも今回の答申案の特徴だ。
 交政審の答申は、目標年次(15年後)までにあるべき都市鉄道の将来像を示すもので、国が各プロジェクトの事業化にお墨付きを与えるものではない。それでも自治体側が注目するのは、鉄道整備とそれに伴う街づくりを推進する上で、国の見解が市民の理解促進や関係事業者同士の連携などの後押しになるからだ。
 相模鉄道いずみ野線や、小田急電鉄多摩線の延伸など重点路線として提案したすべての事業が答申案に盛り込まれた神奈川県。黒岩祐治知事は7日、「100点満点の答申案を出していただけたと考えている」とのコメントを発表。事業の採算性確保の観点から沿線の街づくりに力を入れる方針を示した。
 東京12号線(都営地下鉄大江戸線)延伸を求めていた東京都練馬区の前川燿男区長は8日、「答申が正式決定すれば、整備に向けた明確な位置付けを得ることになる。沿線の街づくりや、大江戸線延伸推進基金の積み立てに取り組む」とコメントした。
 今回の答申案は、いずみ野線延伸に関連し、横浜市内の米軍跡地(上瀬谷通信施設跡地)の開発などを踏まえた新たな公共交通機関の導入可能性についても指摘。「次世代型路面電車(LRT)など中量軌道システムの導入の検討が行われることを期待する。まずは、バス高速輸送システム(BRT)を導入するなど段階的な整備も視野に入れるべき」とした。
 こうした提案を横浜市は行っていなかったが、林文子市長は「街づくりのさまざま可能性を広げていくためにも、今後の土地利用計画と併せて検討する」とコメントした。
 新たな答申案は、前回と異なり、目標年次までの開業・整備着手が適当とする鉄道路線の分類を行わず、各事業の意義と課題だけを指摘する形に変更された。このため東京都は、「決定後の答申の内容をよく分析し、事業化の課題や解決策を検討する」(都市整備局)としている。舛添要一知事は、8日の定例記者会見で、「誰が整備費用を負担するのかは非常に難しい問題。少し時間がかかるとは思うが、誰もが納得するような形で解決したい」と述べた。
 盛り込まれた各事業に国から特別な予算措置が講じられるわけではないが、「自治体から求められれば、検討会や協議に積極的に協力する」というのが国交省の姿勢だ。埼玉高速鉄道線延伸や東西大宮交通ルート新設などを提案したさいたま市は、「国の担当者の助言を受けやすくなることは早期事業化のメリットになる」(都市戦略本部)としている。
 正式な答申は意見公募の手続きを経て月内に決定する見通しだ。

首都圏自治体/交政審小委答申案に期待さまざま/新たな交通機能の可能性検討も

《日刊建設工業新聞》

編集部おすすめの記事

特集

制度・ビジネスチャンス アクセスランキング

  1. お客さまとの距離が近い!年賀はがきのDMが支持される意外な理由

    お客さまとの距離が近い!年賀はがきのDMが支持される意外な理由

  2. 原稿料、講演料、コンサル報酬など支払うとマイナンバーが必要?

    原稿料、講演料、コンサル報酬など支払うとマイナンバーが必要?

  3. 今年のクリスマスケーキは、たっぷりのイチゴが魅力!/定番のショートケーキを強化

    今年のクリスマスケーキは、たっぷりのイチゴが魅力!/定番のショートケーキを強化

  4. 国交省が電気通信工事の国家資格創設へ、技術検定で制度化/30年ぶりの新種目

  5. 誘因(給与)と貢献(労働)のバランスをどう取ればいいのか?

  6. 「2017年版 中小企業白書」と、創業支援策の課題(前編)

  7. 主要ゼネコン26社/17年3月期決算/最高益更新相次ぐ、全社が増収見込む

  8. 「転注」にもめげず、本気で大企業と値上げ交渉

  9. ユニーク社長のロングトーク/Casa 宮地正剛さん Vol.1

  10. 国交省が低入札調査の基準額を引き上げ、工事は予定価格の89%に

アクセスランキングをもっと見る

page top