生ギョーザをピッキングするロボットがもたらす効果 画像 生ギョーザをピッキングするロボットがもたらす効果

IT業務効率

 ロボット導入実証事業が3月末で終了した。この事業を総括してみると、改めて重要な事業であるとの認識を持った。当該事業の特徴を述べると、まず、システムインテグレーターの発掘、育成を意図してプロジェクト設計がなされている点にある。

 ロボットは、それ単独でうまく効果を発揮することが難しく半完成品であるため、さまざまなアプリケーションを実装することで、意図した機能が発揮できる。工程なりサービスのデザインをすることで、効果を最大化するのが、システムインテグレーターである。

 事業の応募段階に、システムインテグレーターとセットで、応募させたため、ロボットの導入側であるユーザーとシステムインテグレーター、それからロボットのハードメーカの三者がうまく連携して応募された例が多かった。このような連携がなされたために、導入側であるユーザの声を聞くと満足度の高い結果となっている場合がほとんどであった。

 満足度が高い理由には、当初意図したとおりのロボットを導入したことによる高い生産性がもたらされただけではなく、意図しない副次的なメリットがもたらされることが多かったためである。

 例えば、ある伝統工芸の現場では、重たい鉄器の作業のためにロボットを導入した。この現場では、人の作業よりも均一になるため、品質も生産性も改善できたとのことであった。何よりもこのロボットが導入されることによって、人の働く意欲も高まったとのことである。

現場目線の業務見直しが日本の強みに
 別の事例では、ロボットスーツを装着させて、重たい金属の移動を行うというものであった。装着型になれていないこともあり、実は導入前よりも生産性そのものは落ちたのだが、ロボットを装着することによる従業員の満足度の向上、さらには、それをPRすることにより、新入社員の獲得に大きく貢献したとのことであった。

 新しい技術を導入することは、内部で働く人の関心をよび、社外にも影響を及ぼすことを知った。内部の関心を呼ぶのは、日本の文化的な側面もあると考える。

 これが、労働者保護という視点でみると、費用対効果を得られるところから人とロボットを置き換えていくような中国や、産業用ロボットの導入期に労働組合の反対にあって導入の進まなかったアメリカと大きく異なる。

 ロボットに仕事を取られるという発想ではなく、ロボットを取り入れることによって、業務の見直しを現場目線でできることが日本の強みとなり、結果として競争力強化につながる。
三治信一朗(さんじ・しんいちろう)NTTデータ経営研究所 事業戦略コンサルティングユニット 産業戦略チームリーダー シニアマネージャー。2003年(平15)早大院理工学研究科物理学及応用物理学専攻修了、同年三菱総合研究所入社。15年NTTデータ経営研究所に入社し産業戦略チームリーダー
《ニュースイッチ by 日刊工業新聞》

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