セメント各社が16年度の新規値上げ見送りへ、過去未達分の交渉に注力 画像 セメント各社が16年度の新規値上げ見送りへ、過去未達分の交渉に注力

制度・ビジネスチャンス

 セメントメーカー各社が、16年度は新たな値上げ方針を打ち出さないことが分かった。売上高・利益の確保に価格改定は不可欠だが、国内のセメント需要が伸び悩む中、思い切った値上げには踏み切れないのが現状。16年度の販売価格について、太平洋セメント、住友大阪セメント、宇部三菱セメント、トクヤマの4社は、いずれも過去に打ち出した値上げの未達分の交渉を需要家と続ける方針だ。
 セメント協会(関根福一会長)が2月に発表した16年度の国内需要見通しは、15年度見込みから横ばいの4300万トン。14年度の国内販売実績(輸入分除く)4504・8万トンと比較すると、200万トン近く減少する年が2年続くことになる。
 今後、2020年東京五輪に向けて首都圏を中心にして需要増が期待できるものの、工事現場の人手不足を背景にした建物構造のRC造からS造への切り替えがさらに進む可能性もあり、需要動向の不透明感が増している。
 16年度の販売価格について、各社は新規の値上げは行わず、過去に打ち出した値上げの未達分の交渉に力を入れる。
 太平洋は11年度に打ち出した「1トン当たり1000円」の未達分である300~500円程度、住友大阪は13年度に打ち出した「1トン当たり500円」の未達分についてそれぞれ交渉を継続。宇部三菱も「13年度に打ち出した1000円の未達分」、トクヤマも「11年度に打ち出した価格改定の未達分」の交渉をそれぞれ行うとしている。
 住友大阪の藤末亮代表取締役兼専務執行役員は「需要は価格決定の重要な要素。現状では需要環境は厳しく、大幅な値上げは難しい」、宇部三菱の佐伯幸三常務も「需要が伸び悩んでおり、環境的に値上げには踏み切りづらい」とそれぞれ新規値上げが困難な状況を指摘している。
 太平洋の湊高樹取締役兼常務執行役員は「老朽化した工場設備の更新のためにも、適正価格を確保することが必要だ」と強調。特に需要増が期待できない地域での価格交渉で苦戦が見込まれることから、地域間で価格差が大きくならないよう地道に交渉を続けるほか、好採算工事への納入を増やす努力を続けていく考えを示している。

セメント各社/16年度の新規値上げ見送りへ/過去未達分の交渉に注力

《日刊建設工業新聞》

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