大阪ガスの新「エネファーム」、来月から余剰電力を買い取り 画像 大阪ガスの新「エネファーム」、来月から余剰電力を買い取り

IT業務効率

 大阪ガスは4月から発売する家庭用燃料電池「エネファームタイプS」の新製品を対象に、余剰電力の買い取りを始める。これにより定格一定運転が可能となり、コージェネレーション(熱電併給)が前提だったエネファームの定義が大きく変わる。多様な世帯にメリットを提供でき、これまで分散型電源とは無縁だった集合住宅にも搭載が進みそうだ。

 従来のエネファームは、負荷に追従して運転するため、家庭で使用中の電力量よりも低い出力で発電。同時に温水も作るため、貯湯タンクが必要で、熱電合わせた高い総合効率のメリットを享受できるのは、多人数世帯などに限られていた。

 大ガスが開発する固体酸化型燃料電池(SOFC)タイプSは、高い発電効率だが作動する温度帯も高く、連続運転に利点がある。その利点を生かすには発電した電力を系統に流入できるようにするのが不可欠だった。

集合住宅への展開に期待
 4月の電力小売り全面自由化で、大ガスは低圧電力供給に参入。エネファームの余剰電力を調達しても、電気を売る体制が整った。設置面積の小型化、低価格化と合わせて「課題だった市場規模も大きく広がる」(本荘武宏社長)と、集合住宅への展開に期待する。

 すでに大手デベロッパーらは、関西で計画する集合住宅計6棟770戸に新製品採用の意向を示す。中でも積水ハウスは、大阪市内2カ所で建設する超高層マンションの全戸に搭載を決めた。

 積水ハウスの担当者は「差別化が図れる商品だ。違った切り口で顧客に選んでもらいたい」と評価する。電気代を安くする狙いで採用が広がる一括受電とは異なる選択肢を提供できるとみている。電力自由化は電力使用量が多い家庭に恩恵はあるが、世帯人数が少なければ電力会社の切り替えメリットは生じにくい。

 一方、エネファームの売電に固定価格買い取り制度(FIT)のようなプレミアムはないが、保証期間10年で費用対効果を十分見込めるという。

HEMSを使う基盤生まる
 過熱するマンション市況にも変化が現れそうだ。エネファームを搭載することで、家庭用エネルギー管理システム(HEMS)を使う基盤が生まれる。

 積水ハウスは新エネファーム搭載マンションで情報通信技術(ICT)を駆使した省エネ行動の誘導も実証。住人属性に応じて有用な情報を提供するシステムを開発していく。

 新たなエネファームは集合住宅への分散型電源普及の一歩。将来のネット・ゼロ・エネルギーマンション実現の扉は開かれた。
(文=大阪・小林広幸)
《ニュースイッチ by 日刊工業新聞》

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