富士電機の”ヒータ電力を使わない自販機”はどうやって誕生したか 画像 富士電機の”ヒータ電力を使わない自販機”はどうやって誕生したか

IT業務効率

 富士電機は電気ヒーターを使わず、高効率のヒートポンプだけで缶・ボトル飲料を加熱できる「ヒータ電力ゼロ自動販売機(ハイブリッドZERO)」を開発した。ヒーターの使用に必要な電力をゼロにし、大幅な省エネと冬季の消費電力の低減を実現した。従来の同機種に比べて年間消費電力量を45%低減できるという。旧世代の自販機からの置き換えが進み、環境面や電力需給バランスの改善につながる。

 一般的な自販機にはヒートポンプが採用されており、効率的に加温している。ただ冬季は多くの飲料商品を温めるため、庫内にヒーターを設置して加熱量を補っていた。ヒーターは消費電力がかさむことから「冬季の省エネは不十分であり、改善の余地が残っていた」(渡辺忠男食品流通事業本部担当課長)。そこで2013年にヒーターレスの自販機の開発に着手した。

 ヒーターレスにするには、最大で従来比約2倍のヒートポンプの熱量が必要になった。そこで圧縮機の熱を利用する「新冷却回路」を開発した。圧縮機内で冷媒が通過する経路を長くする構造に変更。冷媒に圧縮機の排熱をより多く当てることで、圧縮後に高温・高圧の冷媒を取り出すことに成功した。これによりヒートポンプの加熱量が増した。

 また、熱交換器も最適化した。庫内寸法の制約がある中、寸法を維持しながら熱交換器のフィン間隔を狭くしてフィン枚数を増加。熱交換面積を拡大して熱伝達を高めた。間隔が狭くなると空気の流れが悪くなり性能が低下する課題があったが、熱流体解析で最適な流路の形状にした。

 このほか圧縮機メーカーと共同で、高効率の圧縮機を開発した。自販機で使わない高回転数領域を仕様外とする一方、低回転数領域を広げた。「必要以上に回転させると負荷が増えて消費電力が増す。高負荷がなくなることで効率を高めた」(同)という。熱負荷を最適化することで、全体として約10%の高効率化を実現した。

 これらによりヒーターを使わず、ヒートポンプだけで必要な加熱量を確保できる自販機を開発した。冬季に関しては、従来機で60%以上を占めていたヒーターの消費電力がゼロになったという。
(文=敷田寛明)

※第36回優秀省エネルギー機器=日本機械工業連合会会長賞

富士電機のヒータ電力を使わない自販機はどうやって誕生したか

《ニュースイッチ by 日刊工業新聞》

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