【大震災5年-これまでとこれから・14】JR東日本・大口豊氏、沿線の街づくりに貢献 画像 【大震災5年-これまでとこれから・14】JR東日本・大口豊氏、沿線の街づくりに貢献

インバウンド・地域活性

 ◇持続性ある交通手段提供
 東日本大震災から5年が経過したが、BRT(バス高速輸送システム)による復旧区間を含め、約223キロはまだ鉄道が通っていない。土地のかさ上げなどに伴って移設して復旧した区間では、基盤整備を終えたとはいえ、従来通りの街として定着したとは言い難いところもある。震災後の人口減少も課題になっている。交通手段が戻ることによって、沿線地域の新たな街づくりに貢献することが大きな役目だ。
 鉄道という交通手段には、被災地に限らず信頼感や期待がある。ただ、地方では、公共交通をどうやって維持していくかを考える必要がある。地域住民の足の確保に貢献するとともに、公共交通として継続性、持続性の高い利用の仕方を提供することが大切だ。
 常磐線の運休区間のうち津波の被害を受けた相馬駅~浜吉田駅間は、内陸部の移設区間の用地買収が地権者らの理解で順調に進んだ。現在、レールの敷設が終わり、電気・機械設備の工事に移っている。運転再開は当初の17年春から16年内に前倒しできそうだ。
 福島第1原発事故の避難指示区域内の運休区間も「常磐線を全線つなげてほしい」との地元の要望が強い。避難指示解除準備区域では、住民の帰還に合わせ、原ノ町駅~小高駅間が16年春、小高駅~浪江駅間が17年春に運転再開できるよう復旧工事を進めている。富岡駅~竜田駅間も17年度内に運転を再開したい。
 帰還困難区域内の浪江駅~富岡駅間は、まだ周辺の除染が行われていないが、昨夏から除染の試験施工が始まり、効果的な除染方法を分析・検討している。地震で落ちた橋の撤去準備や新設する橋の設計も進めている。
 山田線(宮古駅~釜石駅間)は、復旧後の利用促進を背景に、運営は三陸鉄道に移管することにした。昨年3月の着工式を経て、調査・測量や橋桁の設計・製作などに入り、同10月には宮古市に工事事務所を置いた。沿線4自治体でそれぞれ安全祈願を行い、実際の工事に着手した。18年度末までに引き渡しができるようにしたい。
 大船渡線(気仙沼駅~盛駅間)と気仙沼線(柳津駅~気仙沼駅間)は、まず地域の交通手段を取り戻すためBRTで仮復旧したが、復興まちづくりを進める上で、最終的に鉄道にするかBRTにするかを早期に固める必要があった。当社としては、交通手段の持続性や柔軟性を考慮するとBRTを引き続き活用したほうがよいと地元に説明してきた。
 BRTは仮復旧の段階から、定時性・高速性を高めようと専用道の活用や増便などの改善を進めた。停留所には待合室やトイレ、ロケーションシステムなどをできるだけ設置するようにしている。引き続き、専用道の延伸、他の高速バスやコミュニティーバスとの連携強化に取り組む。今後も地元との対話が大切になる。膝詰めで話し合い、改善要望に一つ一つ応えていきたい。
 津波被害は想定外だったものの、阪神大震災や新潟県中越地震での知見が生かされ、地震被害に対しては比較的早く対応し、人的被害も無く復旧することができた。
 日本の鉄道の歴史は、災害や事故を乗り越えてきた蓄積の上に成り立っている。その過程で新たなルールを決めたり、ハードを整備したりしてきた。災害対策にこれで十分というものはない。公共交通を提供する立場として、同じような被害を念頭に置いて取り組んでいく。利用客や従業員の命を守るためにも、東日本大震災で得た経験を生かしていきたい。
 (総合企画本部復興企画部長、随時掲載します)

大震災5年-これまでとこれから・14/JR東日本・大口豊氏/沿線の街づくりに貢献

《日刊建設工業新聞》

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