出雲大社「庁の舎」の保存を、建築関連5団体が建替検討で要望書提出 画像 出雲大社「庁の舎」の保存を、建築関連5団体が建替検討で要望書提出

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 出雲大社(島根県出雲市)の管理事務所兼宝物殿として1963年に建設された「庁の舎(ちょうのや)」の保存を求める要望書を、日本建築学会など建築関連5団体が15日、出雲大社総務課に提出した。庁の舎は、戦後日本を代表する建築家の一人、菊竹清訓氏(1928~2011年)が設計した建物で、出雲大社は老朽化を理由に建て替えを検討中とされる。5団体は、戦後に日本から世界に初めて発信した建築理論「メタボリズム」(新陳代謝)を表現した代表作と指摘。改修による保存活用を検討するよう訴えている。
 要望書を提出したのは、建築学会のほか、日本建築家協会(JIA)中国支部、島根県建築士会、近代建築の記録と保存を目的とする学術組織「DOCOMOMO Japan」(ドコモモ・ジャパン)、早稲田大学出雲大社庁の舎保存の会。保存に向けては、学術的な観点から相談も受けるとしている。
 庁の舎は、RC造平屋(一部中2階)631平方メートルの規模。出雲大社奉賛会会長を務めた田部長右衛門の推薦で菊竹氏が設計を担当した。菊竹氏は、福岡県久留米市の生家にあった倉と出雲大社本殿の間取りの相似性から、本殿の原型は米倉と直感。刈り取った稲を干す「稲はで」を庁の舎のデザインモチーフに取り入れ、本殿に連なる物語性を持たせたといわれる。
 日本建築学会賞や米国建築家協会汎太平洋賞などを受賞し、03年にはドコモモ・ジャパンが日本の近代建築「100選」にも選出している。一方で、築53年が経過して雨漏りなどがひどく、出雲大社は取り壊しを検討中と伝えられていた。
 5団体は要望書で、外観は2本の巨大な梁と階段状の外壁で構成され、生物が代謝を繰り返しながら成長する仕組みを建築や都市計画に取り入れる「メタボリズム」を具現した典型的な建物だと指摘。国際的にも評価が高く、世界の現代建築史の中でも重要な建物に位置付けられるとした。
 さらに、山陰の建築文化を世界に発信できるポテンシャルを持つ希少な文化・観光資源であり、その重要性は今後高まると強調。雨漏りの問題はあるが、シンプルな構造で十分な耐震性もあり、取り壊して再建するよりも、改修による保存再生の方法を探ることが望ましいと訴えている。

建築関連5団体/出雲大社「庁の舎」(島根県出雲市)保存を/建替検討で要望書提出

《日刊建設工業新聞》

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