水機構の武蔵水路改築(埼玉県行田市~鴻巣市)が完成、水路本体を2連RC造に再構築 画像 水機構の武蔵水路改築(埼玉県行田市~鴻巣市)が完成、水路本体を2連RC造に再構築

インバウンド・地域活性

 水資源機構は12日、利根川の水を荒川へと導水している武蔵水路(埼玉県行田市~鴻巣市、延長14・5キロ)の改築事業が3月末に完了し、4月1日に新水路と関連施設の一元管理・運用を開始するのに先立ち、竣工を祝う式典を行田市内の行田市教育文化センターで開いた。10年8月の着工から約6年かけ、全区間を耐震性能が高く、点検や補修も容易な2連のRC構造に再構築。甲村謙友理事長は、「新たな水路が住民の快適な生活に役立つよう、適切に管理していく」と述べた。
 埼玉県と東京都に都市用水を供給するために建設された武蔵水路(1967年完成)は、地盤沈下による構造物のゆがみや老朽化の進行で通水能力が低下。コンクリートの中に鉄筋が挿入されていない脆弱(ぜいじゃく)な水路本体の構造も問題となっていた。改築事業では、震度6強の地震が発生する可能性も考慮し、すべてRC造に造り替えられた。
 式典に出席した国土交通省の宮内秀樹政務官は、武蔵水路が豪雨発生の際、周辺地域にたまった水の受け皿になることを踏まえ、「荒川まで水を排出する機能が高まる」と改築の意義を強調。上田清司埼玉県知事も「地域の安全・安心が向上する」と期待を述べた。
 新水路には、本体中央を隔壁で仕切った2連構造を採用。毎秒50立方メートルの水を首都圏に24時間流し続け、導水された水は工業用、水道用、浄化用として利用される。供用中も水を止めずに点検や補修を行えるようになることから、改築前より水路の長寿化計画を立てやすくなる。
 荒川との合流部付近には、既存の排水機場2棟を統合し、排水能力を毎秒50立方メートル(従来は毎秒40立方メートル)まで高めた新たな機場(糠田排水機場)を整備。他の河川(星川)とつながる水門1カ所と、浸水した地域の水を引き込む放流口2カ所もそれぞれ増設した。水路以外の施設管理は、これまで埼玉県も担当していたが、4月から同機構による一元管理に移行する。
 式典では、全国の大規模な治水施設を紹介するシリーズ「ダムカード」の1枚として、武蔵水路のカードが無料で配布され、関係者や地元住民らに喜ばれた。
 □河川や鉄道直下の施工法に工夫□
 水資源機構が進めてきた武蔵水路(埼玉県行田市~鴻巣市、延長14・5キロ)の改築事業では、旧水路が河川や鉄道、国道と交差する場所で施工の難易度が高くなるケースがあり、工法が工夫された。河川の下をくぐる箇所では、旧水路の内側に新しい鋼管を挿入する「パイプ・イン・パイプ(PIP)」工法などを活用。線路直下の工事では、狭い空間での鋼矢板打設を可能にする「超低空頭パイラー」工法で課題を克服した。
 武蔵水路の本体改築工事は、利根川を始点に五つの工区に分けられ、始点部を淺沼組、上流部を西松建設、中流部を鹿島、JR東日本委託区間を東鉄工業・鹿島JV、下流部を奥村組がそれぞれ施工した。
 中流部区間に当たる元荒川との交差部でPIP工法を適用したのが鹿島。元荒川直下の旧水路は、ボックスカルバートが2連化された構造で、一つのボックスが縦3・5メートル、横3・5メートルの大きさになっていた。鹿島は、使用する鋼管(径3・4メートル、最大長4・5メートル)を事前に少し巻き込み、口径を抑えることで、ボックスカルバート内への挿入が容易になるよう工夫。元の口径に戻した後、丸い管と四角いボックスとの隙間にエアーミルクを詰めていった。
 JR高崎線の下を通る水路の改築工事の発注は、JR東日本に委託。区間全体には、旧水路の中央を鋼矢板で仕切り、片側ずつ交互に水を止めて新水路を構築する工法(半川締め切り工法)が適用されていたが、線路から水路水面までの距離は1・5メートルしかなく、通常の油圧圧入機による鋼矢板打設は困難だった。対策として、東鉄工業JVは自走時に機体の上下動が少ない超低空専用の圧入機を投入。短い矢板(長さ1~2メートル)の打設を繰り返し、水路を構築した。
 水路周辺は市街化が進み、住環境への配慮も課題になった。12日の竣工式で、事業の経過報告を行った同機構の高橋武彦武蔵水路改築建設所長は、「住宅が近接する区間には防音壁を設置し、騒音低減に努めた」と説明した。

水機構/武蔵水路改築(埼玉県行田市~鴻巣市)が完成/水路本体を2連RC造に再構築

《日刊建設工業新聞》

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