東日本大震災5年、「実感できる復興」へ全力。業界の役割なお大きく 画像 東日本大震災5年、「実感できる復興」へ全力。業界の役割なお大きく

インバウンド・地域活性

 1万8000人を超す死者・行方不明者を出した2011年3月11日の東日本大震災から11日で5年を迎える。法律で10年と定めた復興期間の前半の「集中復興期間」が本年度で終了。4月からは「復興・創生期間」という新たなステージに入る。昨年3月1日に全線が開通した常磐自動車道をはじめ基幹インフラの整備が確実に進展する一方、いまだ17万人余の避難者が不自由な生活を強いられている。政府は「実感できる復興」(石井啓一国土交通相)を目指し、住まいやまちづくりを含めた残された事業の総仕上げに全力を傾注する構えだ。
 昨年10月の就任以来、既に6回被災地に入っている石井国交相は、現地の状況について「(復興への)確かな足取りが見られる」と強調する。
 「復興のシンボル」と位置付けられる総延長584キロに及ぶ復興道路・復興支援道路は、全体の7割が開通または開通見込みとなった。地域住民の足となる鉄道も、JR石巻線やJR仙石線が開通。JR常磐線も全線復旧の方針が決まった。国交省は、こうした基幹インフラと併せ、住宅再建に向けて各地域の実情をきめ細かく把握し、復興をさらに加速させる方針だ。
 復興に向けた政府の総合窓口として司令塔役を担う高木毅復興相は、被災地や被災者の自立を促し、「地方創生のモデルとなるような復興の実現を目指す」としている。
 震災発生当時、国交省の東北地方整備局長として応急復旧などを陣頭指揮した徳山日出男事務次官は、津波で甚大な被害が出た太平洋沿岸部に内陸から東西方向に何本もの道路を開く「くしの歯作戦」を共に展開した建設業界を「戦友」と表現。「互いの役割を果たしながら、被害に見舞われたふるさとを元に戻すべく、ゴールに向かってまっしぐらに復旧・復興に取り組んできた」と振り返る。
 3・11以前は「公共事業悪玉論」もあり、インフラの整備を担う国交省も建設業界も萎縮しがちだった。未曽有の大災害は、国交省と業界に「何をすべきか」という本能を目覚めさせ、多くの国民にインフラの重要性や建設産業の役割と必要性をあらためて認識させる大きなきっかけにもなった。
 政府は、16年度からの5年間を復興・創生期間と位置付け、復興事業費を5年間で6・5兆円追加し、15年度までの集中復興期間と合わせて32兆円程度確保することなどを盛り込んだ基本方針を11日に閣議決定する。被災地のこれからの大きな課題は、住まいの確保と産業の再生だ。
 石井国交相は、東北の未来をつくるために、「観光」を武器にした地域振興を図る考えを示している。ここでも欠かせないのが、人や物の交流を促進するためのインフラ整備だ。常磐道は全線が開通したとはいえ、福島県内などには暫定2車線区間が残っている。
 5日に現地入りした安倍晋三首相の指示を受けて石井国交相は、4車線化の実現へ大きくかじを切る構えだ。次の5年も国交省と建設業界が果たすべき役割は大きい。

東日本大震災5年/「実感できる復興」へ全力/業界の役割なお大きく

《日刊建設工業新聞》

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