政投銀、東日本と阪神大震災を比較検証、プロジェクト誘導が不可欠 画像 政投銀、東日本と阪神大震災を比較検証、プロジェクト誘導が不可欠

インバウンド・地域活性

 日本政策投資銀行は、東日本大震災と阪神・淡路大震災(阪神大震災)を比較検証した報告書をまとめた。両震災とも復旧・復興需要の終息後が課題だと指摘し、東北地方での新たな産業の育成やプロジェクト誘導が欠かせないとの見方を示した。東北での新たな成長産業として加速器産業や医療機器産業、観光産業、福島第1原発事故に伴う廃炉産業を具体例に示した。有望なプロジェクトには、国際リニアコライダー(ILC)を挙げ、経済の落ち込みが本格化する前にILC立地を決定させることで復興に大きく寄与するとの認識を示した。
 被害額や10年間の復興事業費(国費)を見ると、阪神大震災は9・6兆円の被害に対し6・1兆円が投じられた。東日本大震災では被害額が16・9兆円で、復興事業費は32兆円が見込まれている。
 業況判断指数(DI値)の推移を見ると、阪神大震災で最も大きな被害を受けた兵庫県では、震災直後に悪化したものの、半年後には全国と同水準にまで回復した。3年目までは全国と同水準で移行したが、その後は全国を下回る結果となっている。
 一方、東日本大震災で大きく被災した岩手、宮城、福島の3県は、半年後には復興需要により全国を上回るまでに急回復した。1~2年後までは建設業がけん引する形で、全国を大きく上回って推移し、その後も堅調な動きを見せている。かさ上げ工事や高台移転など長期にわたる復興工事が大規模な形で続いていることが影響していると同社は見ている。
 民間・公共投資額は、兵庫県では震災翌年以降、4年連続のマイナス成長となった。一方、東北の被災3県では、長期にわたる大規模な公共投資が地域経済を下支えしている。ただ、これらが終わった際に、地域経済に大きな影響を与えることが想定され、代替する新たな産業が重要になると指摘している。
 有望なプロジェクトに挙げたILCは、岩手、宮城の2県にまたがる北上山地が有力候補となっている。ILCが実現すれば、直接的な経済効果に加えて、世界各国の研究者らの集積や、加速器周辺の新産業創出が期待できるとした。
 地域や学校での国際交流によって人材育成が図られ、長期的な観点からは人口の社会流出抑制にもつながるとした。東北地方では震災によって既に人口減少が進んでおり、地域経済にマイナスの影響を与えている。
 復興需要の減少と人口減少という二重苦への対応には、スピード感を持った対応が必要であり、復興という観点からILCの効果を最大化させるためには、経済の低迷が本格化する前に立地を決めることが重要だとした。
 観光産業は、風評払しょくや防災・減災に関する情報発信という役割を担うべきだとした。廃炉産業は、研究開発の視点に加え、まちづくりやビジネス創出といった視点も持って取り組むことで、復興により一層寄与していくとの見方を示した。

政投銀/東日本と阪神大震災を比較検証/プロジェクト誘導が不可欠

《日刊建設工業新聞》

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