進む南海トラフ地震対策、39市町村が津波避難計画策定 画像 進む南海トラフ地震対策、39市町村が津波避難計画策定

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 太平洋沿岸部の市町村で、南海トラフ巨大地震対策特別措置法に基づく津波避難対策が進んできた。政府が2年前に初指定した「津波避難対策特別強化地域」の139市町村(14都県)のうち、今月1日までに39市町村(7県)がハード整備に国の手厚い支援を受けられる津波避難対策の「緊急事業計画」(5カ年)を策定。避難タワーや高台への避難路の整備を推進・計画している。緊急事業計画を作る市町村は今後も増える見通しだ。
 特措法では、津波で特に甚大な被害が出る恐れのある地域(地震発生から30分以内に30センチ以上浸水)を国が避難対策特別強化地域に指定。その対象となった市町村は、津波避難対策の緊急事業計画を策定して国の認定を受ければ、避難タワーや避難路の整備費に対する国庫補助率が通常の2分の1から3分の2に引き上げられる。住宅団地の集団移転に対する財政支援や規制緩和措置も受けられる。
 政府の最新の集計によると、今月1日までに緊急事業計画を策定した39市町村には、全国最大の津波高(34メートル)が想定される高知県の土佐清水市と黒潮町をはじめ、県庁所在地の静岡(最大想定津波高13メートル)、高知(16メートル)、宮崎(16メートル)の3市などが含まれている。
 土佐清水市は、16年度末までに高台などへの避難路を約180カ所確保。このうち本年度末までに約150カ所を確保する予定で、16年度は残る30カ所の整備を急ぐ。
 一方、最大想定津波高が土佐清水市などに次ぐ静岡県下田市(33メートル)と東京都新島村(31メートル)は、1日までに緊急事業計画を策定していない。下田市は16年度に既存の「春日山遊歩道」の改修を行い、避難路としても十分機能するように舗装や電灯の設置などを進める。17年度以降は同遊歩道と連絡する新たな避難路の確保を検討。その際、緊急事業計画を策定するかどうかを議論するという。
 新島村は、今後5年で避難タワーや高台への近道となる避難階段の整備を推進する。近く内閣府に緊急事業計画の認定申請を行う予定だ。
 政府は、緊急事業計画を作る市町村は今後さらに増えるとみている。
 政府の最新調査では、南海トラフ地震対策特措法と同日(13年12月27日)に施行された首都直下地震対策特措法に基づく市区町村の対策は進んでいないことも判明した。国が2年前に指定した「首都直下地震緊急対策区域」の310市区町村(10都県)が対象となる特定緊急事業推進計画の策定実績は、今月1日時点でゼロだった。
 首都直下地震の特定緊急事業推進計画を作ってから避難施設を整備すれば、建築基準法の特例措置などが受けられるが、今回の結果について内閣府の防災政策担当者は「首都圏では避難施設の整備が民間主導で進んでいるケースが多く(国の手厚い支援対象となる)市区町村の自前の計画が少ない」と分析している。
 津波避難対策の緊急事業計画を策定した39市町村(3月1日時点)は次の通り。
 【静岡県】静岡市△浜松市△富士市△磐田市△焼津市△袋井市△湖西市△伊豆市△牧之原市
 【愛知県】田原市
 【三重県】伊勢市△尾鷲市△熊野市△明和町△紀北町
 【和歌山県】みなべ町△すさみ町△串本町
 【徳島県】鳴門市△小松島市△美波町
 【高知県】高知市△室戸市△安芸市△南国市△土佐市△須崎市△宿毛市△土佐清水市△香南市△東洋町△四万十町△大月町△黒潮町
 【宮崎県】宮崎市△延岡市△日南市△日向市△新富町。

南海トラフ地震特措法ー39市町村が津波避難計画策定/避難路やタワー整備推進

《日刊建設工業新聞》

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