入場者数9年連続増、官民一体で城下町再生…愛知・犬山城 画像 入場者数9年連続増、官民一体で城下町再生…愛知・犬山城

インバウンド・地域活性

 城を訪れる観光客が増えている。歴女(れきじょ)と呼ばれる歴史ファンの女性や外国人観光客の増加が、その城ブームを後押し。愛知県北部に建つ国宝犬山城(犬山市)も観光客を増やしている城のひとつだ。昨年、入場者数が過去最高となる53万人を記録した。その背景を探るとブームだけではない、地元の地道な努力があった。

■シャッター通り
 現存する天守で最も古いとされる国宝犬山城は、1537(天文6)年に築城。標高80mほどの平山城だが、旧城下町からの眺めは、もっと高く、崇高に見える。別名を、中国唐代の詩人李白の詩文にちなみに「白帝城」と呼ばれる。

 尾張(愛知県)と美濃(岐阜県)の境に位置するため、戦国時代を通じて国盗りの要所となり、城主はめまぐるしく変わった。やがて尾張藩付家老、成瀬家が城主に。2004(平成16)年、財団法人犬山城白帝文庫(現在は公益財団法人)に移管されるまでは、全国唯一の個人所有の城、つまり「殿」が存在することで知られていた。

 「昭和のころは年間40万くらいの入場者数がありましたが、平成に入ると徐々に減って、2003(平成15)年には20万人を割り込みました」と話すのは犬山市観光協会事務局で陣頭指揮を執る後藤真司さん。今でこそ旧城下町のメインストリートは、古民家が並ぶ情緒豊かな町並みを形成しているが、15年ほど前はいわゆるシャッター通りだったという。それまで入場者数が安定したゆえに、宣伝活動にさほど力を入れてこなかったのかもしれない。

■旧城下町の活性化から
 犬山の旧城下町は、江戸時代に描かれた「城下絵図」と現在の地図がほぼ一致する。歴史的価値としては貴重だが、見方を変えれば経済成長から取り残されていたことを意味する。「観光客を呼び戻すために、やることは山ほどありました」と振り返る後藤さんは、かつて旅行代理店で働いていた。2005(平成17)年に現職に就いた後藤さんがまず注目したのは、天守ではなく、その周辺の旧城下町だった。

 「地域の活性化は、まず『人』から。地元住民の方々の協力が欠かせませんからね」と意気込み、説明会を開こうと商店に手紙を送ったところ、回答はほぼゼロ。電話をしても反応は鈍かった。インターネットを使った仕掛けをつくろうにも、インターネットという言葉を聞いただけで拒絶反応を示す人が少なくなかったという。

 後藤さんは諦めず、一軒一軒に足を運んだ。門前払いもあった。それでも地元の一人ひとりに協力をお願いするいわゆる、いわばドブ板活動を続けていくうち、住民にその熱意が伝わるようになり、協力してくれる商店がじわりと増えていった。「地元の皆さんも、やはり犬山を元気にしたいという思いはあるのです。それを喚起させるには、やはり直接お会いして、熱意を伝えることが大切なのだと改めて実感しました」(後藤さん)。
《DAYS》

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