被災3県の予算、5年連続で1兆円台…軸足は復興から通常事業に 画像 被災3県の予算、5年連続で1兆円台…軸足は復興から通常事業に

インバウンド・地域活性

 東北6県と仙台市の16年度当初予算案が22日までに出そろった。岩手、宮城、福島の被災3県は震災以降5年連続で1兆円台を確保し、仙台市も総額で1兆円台に乗せた。ただ、復興事業が最盛期を過ぎたせいか、震災対応の経費は福島を除き前年度比で減少。仙台市は復興事業局を3月に廃止し、通常の事業に軸足を移す。福島は復興事業と原発事故対応に過去最高となる1兆0384億円を盛り込み、事業のピークに備える。青森、秋田の予算はほぼ前年度並み。山形の一般会計は6県で唯一、前年度よりも増加した。
 県別に予算を見ると、青森県の一般会計は0・5%減の6970億円とほぼ前年度並みを維持した。一般会計のうち投資的経費は北海道新幹線整備の負担分がなくなったことで2・6%減少し1335億53百万円に。
 同県では複数の大規模な施設整備事業が動く。県庁舎の耐震改修に29億10百万円、八戸市内に建設する屋内スケート場整備に7億58百万円を計上した。五所川原工業高校など県立学校の校舎改築・改修経費に総額30億67百万円を割り振った。
 新規では、狭あい化した八戸運転免許試験場の改修に1億14百万円を充て講習室などを増床する。老朽化したつがる警察署庁舎の建て替えに向けた経費に8864万円を計上し、設計や用地取得などを進める。
 岩手県の予算規模は一般会計が4・1%減、震災対応分が10・7%減といずれも減少した一方、投資的経費は前年度よりも1・5%増加。震災対応以外の通常事業も0・5%増の6656億円と前年度並みを維持した。本格復興期間(14~16年度)の最終年度となる来年度以降、インフラ整備の総仕上げに入る。
 主要事業を見ると、高田松原野外活動センターの災害復旧に29百万円を充て、センターの移転復旧に向けた用地造成の設計を発注する。
 三陸沖での洋上風力発電事業を軌道に乗せるため、洋上ウインドファーム事業化促進費に45百万円を計上し、実現可能性調査などを委託する。国際リニアコライダー(ILC)の誘致では調査費に69百万円をつけ、引き続き実現を働き掛ける。
 宮城県の一般会計は4年連続で縮小したものの、1兆円台を維持。特別会計と企業会計を合わせた総額は1兆6894億円と、8000億円台で推移していた震災前の2倍の水準を維持している。
 一般会計のうち震災対応分は4832億86百万円と前年度よりも990億円減少(17・0%減)。一方で災害対応を除く通常事業は5・6%増の8911億円に増えた。集中的に復興に取り組む時期から次の段階へと歩を進める。
 昨年秋の豪雨災害を受け、河川の災害復旧や再発防止策に66億円程度を配分した。松島水族館の跡地利用を検討する経費に17百万円を充て、有識者委員会を立ち上げるとともに測量などを進める。
 福島県は総額では過去最大だった前年度の規模を0・9%下回ったものの、原発事故と復興事業の震災関連経費は0・9%増の1兆0284億円と過去最高額に膨らんだ。前年度同様、総予算の半分以上を震災・原子力災害の対応に重点投下する。
 放射性物質の除染作業など環境を回復する経費に2545億円余りを配分。このうち市町村が実施する除染作業の支援に2170億円を回す。
 沿岸部に再生可能エネルギーや産業ロボットなど研究拠点を集める「イノベーション・コースト構想」推進事業には総額142億98百万円を計上した。
 保健医療の職員を養成する施設建設に1億37百万円、ふくしま国際医療科学センターの整備費に75億60百万円をそれぞれ盛った。
 秋田県と山形県は例年とほぼ同規模の6000億円程度を計上した。
 秋田県は一般会計が0・2%減、投資的経費は0・8%減とやや減少。建設関連の事業では秋田市と共同で進める文化施設整備推進事業に12百万円、県立高校の再編整備などに総額52億23百万円、動物愛護センター(仮称)の設計委託費に5百万円などを盛った。
 山形県の一般会計は2年連続で増加。投資的経費は7・6%増の1015億円と上積みし、JR山形駅西口に建設する県民文化施設の工事や、新庄病院の改築に向けた基本構想策定などを進める。酒田港への大型クルーズ船誘致を目指した調査にも着手する。
 仙台市の一般会計は前年度比3・4%減少したが、特別会計と企業会計を合わせた総額は約1兆1500億円(0・4%減)と前年度並み。被災3県と同様、震災後5年連続で1兆円の大台に乗せた。ただ、復興関連の経費は280億円(62・0%減)と大幅に減った。
 15年度で震災復興計画の期間が終わり、市の施策は大規模な老朽施設の更新や観光振興、起業家支援などに重心を移し始めた。

東北6県、仙台市/16年度予算案/被災3県は5年連続1兆円台、通常事業に軸足移行

《日刊建設工業新聞》

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