ベテランも「不慣れ」意識必要…建設の人為ミス防止に成果 画像 ベテランも「不慣れ」意識必要…建設の人為ミス防止に成果

インバウンド・地域活性

 建設現場の安全を損なう要因の一つとして必ず指摘されるヒューマンエラー。その発生を回避しようと、地域建設業者の渡辺建設(群馬県嬬恋村、渡辺栄志社長)が実践した工夫が、関東地方整備局発注の砂防工事の現場で成果を挙げている。同社は、ヒューマンエラーの発生要因を12種類に分類し、自分が起こす可能性がある事故について、作業員らに連想してもらう試みを重ねた。関東整備局は、「想像力を働かせることが個人のスキルアップを導いた良い事例だ」と評価している。
 同社は、群馬県嬬恋村を流れる利根川水系吾妻川上流部に床固め群を整備する事業の一環である「H26田代護岸外工事」を利根川水系砂防事務所から受注。14年10月16日から15年11月2日までの工期で、掘削や残土処理、擁壁工、根固めブロック設置などを行った。
 この現場では、ヒューマンエラーの要因として、▽無知・未経験・不慣れ▽危険軽視・慣れ▽不注意▽連絡不足▽集団欠陥▽近道・省略行動本能▽場面行動本能▽パニック▽錯覚▽中高年の身体機能低下▽疲労▽単調作業などによる意識低下-の12種類を列挙。各作業員に12種類の中から一つのテーマを選択してもらい、自分が起こしてしまいそうな事故について、順番に発言していくという時間を朝礼時に10分間ほど設けた。
 現場代理人を務めた高橋将貫さんによると、初めての現場では、ベテランであっても「不慣れ」という認識を持つことが大切になる。集団欠陥の例には、「工期が厳しいから不安全行動もやむなし」といった集団心理などが当てはまるという。現場では、年齢に応じた身体機能の低下をよく認識しておくことが事故の回避につながることも共有された。
 参加した作業員からは、「最初は戸惑ったが、だんだん発言できるようになった」「慣れで何気なくやってきたことの中に危険な行為があったことに気付けた」「自分の性格を少し見つめることができた気がする」などの感想が寄せられたという。
 高橋さんは、「作業員が自発的に物事を考えて行動するようになり、作業員同士のコミュニケーションが深まった。全社的に取り組みを広げていきたい」と話している。
 同社は、このヒューマンエラー回避の取り組みなどが評価され、5日に関東整備局が主催した第17回砂防関係工事安全施工研究発表会で最優秀賞を受賞した。

渡辺建設(群馬県嬬恋村)/創意工夫で人為ミスの発生回避/要因分析活動が効果発揮

《日刊建設工業新聞》

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