食肉中央卸売市場のHACCP対応進む、五輪見据え訪日客需要に照準

インバウンド・地域活性

 全国に10カ所ある食肉の中央卸売市場が、国際的な食品衛生管理の方法HACCP(危害分析重要管理点)の導入に乗り出した。国際基準に沿った食肉処理を徹底して、輸出や、増加中のインバウンド(訪日外国人)向けに売りやすくする狙い。各市場は2020年の東京五輪・パラリンピックに食肉の需要が盛り上がるとみて、導入に必要な場内の整備や従業員の教育などを急ピッチで進める方針だ。

 東京都と仙台、さいたま、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡の各市にある10市場全てが、導入に向けた検討会などを既に設置した。食肉の安全性を高めるため、施設(ハード)、人(ソフト)の両面から課題を洗い出して対応を進める。開設者である自治体や卸売会社が主導する。

 牛肉の取扱量が全国で最も多い東京都中央卸売市場食肉市場(港区)は16年度、と畜場の部分改修に着工する。食肉処理する部屋に続く通路を壁で覆うなどして、外気に触れないようにする。本格的な整備に掛かる費用は、17年度予算で確保する考えだ。

 ソフト面では、市場で働く人を集めて研修会を開く。1回の処理作業を終えるごとに丁寧に手洗いするなど、おろそかになりがちな作業の重要性を学び直す。18年度中にはHACCPを導入する計画で、都は「国際基準にのっとった食肉だとアピールして、消費拡大につなげたい」(同市場管理部)と力を込める。

 京都市中央卸売市場第二市場は、と畜場などの全面建て替えを行う。新市場は18年度にオープンする予定だ。大阪市中央卸売市場南港市場も16年度、新市場の建て替えの計画を立てるという。

 輸出の旗を振る国も支援する。15年度補正予算で「農畜産物輸出拡大施設整備事業」43億円を措置した。HACCP対応施設への更新など、輸出先の国のニーズを満たすのに必要な費用を2分の1以内で補助する。

 厚生労働省によると、全国の牛のと畜場138カ所のうち、昨年4月時点でHACCP導入済みなのは27施設(20%)にとどまる。同省HACCP企画推進室は「HACCPは国内外問わず、安全性をPRできる有効な手段だ」として効果を指摘する。(鈴木薫子)

<ことば> HACCP

 国際的な、食品の衛生管理手法の一つ。最終製品だけでなく、加熱殺菌などの製造の各段階で微生物汚染などの危害を予測し、特に重要な工程(重要管理点)を決め、継続的に監視、記録する手法。万が一、食中毒などが起きた際に原因を突き止めやすい。欧州では政府が食品企業にHACCP取得を義務付けているが、日本は遅れている。 

HACCP対応進む 五輪見据え 訪日客需要に照準 食肉の中央卸売市場

《日本農業新聞》

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