話題のスマートロックを探る!

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既存のサムターンの上から工事不要で後付け設置ができるタイプがスマートロックのトレンド。フォトシンスの「Akerun」もトレンドを代表する製品の1つ(撮影:防犯システム取材班)
  • 既存のサムターンの上から工事不要で後付け設置ができるタイプがスマートロックのトレンド。フォトシンスの「Akerun」もトレンドを代表する製品の1つ(撮影:防犯システム取材班)
  • フォトシンスのスマートロックサービスのコア製品となる「Akerun」は、サムターンに被せる本体部分と、ドアの開閉を検出するマグネットセンサーで構成(撮影:防犯システム取材班)
  • 左から「Akerun」「Akerun Remote」「Akerun Touch」の3製品。同社では「Akerun」の発売以降、関連した新製品・新サービスが続々とリリースされている(撮影:防犯システム取材班)
  • 強力な粘着力を持ちながらも取り外しが可能な特殊なテープを使って設置する(撮影:防犯システム取材班)
  • 単3形乾電池2本で稼働。電池残量が少なくなるとアラートメールがスマホ端末に届く(撮影:防犯システム取材班)
  • アプリ上で操作を行うと、「Akerun」本体が連動してロックが外れる。関連製品を組み合わせることでアプリの操作を省略することも可能だ(撮影:防犯システム取材班)
  • アプリからは解錠&施錠の履歴を見ることができるので、防犯的な活用もできる(撮影:防犯システム取材班)
  • 合鍵代わりになる鍵権限は、オーナーのアプリから任意の人にSNSや電話帳、電話番号を通じて付与することができる(撮影:防犯システム取材班)
 世の中に日々登場している防犯・防災製品&サービスのなかから、もっと詳しく性能や機能を知りたいモノを防犯システム取材班がピックアップして、取材や検証を元に"深掘り"していく不定期の新連載。

●従来の鍵とは一線を画す「スマートロック」

 第2回となる今回ピックアップするのは、フォトシンスが提供するスマートロック「Akerun」。

 そもそも「スマートロック」とは何か?ということから定義する必要があるが、一般的には従来の鍵のようにシリンダーに物理キーを差し込む必要がなく、スマートフォンなどをキー代わりにして解錠・施錠できる鍵を指すことが多い。より広い枠で考えた場合には、すでに普及が進んでいるICカードや専用リモコンなどで開けることができる「電子錠」「電子ロック」などもカテゴリーに含まれると言えるだろう。

 今回の記事では、スマートフォンを介して施錠・解錠ができ、後付けかつ簡単設置が可能なタイプのものを「スマートロック」と定義し、話を進めていく。

 2015年に発売されたスマートロックのなかでも、関連製品の拡充やメディア露出の多さから特に注目されているのが、フォトシンスの「Akerun」、Qrioの「Qrio Smart Lock」、ライナフの「Ninja Lock」の3社3製品。

 従来、鍵といえば鍵メーカーによる製品が圧倒的に多かったなか、フォトシンス・代表取締役社長の河瀬航大氏がガイアックス出身、Qrioは、ソニーとWiL, LLC(World innovation lab)の合弁会社、ライナフが不動産業界向けのシステム開発会社といずれも鍵メーカーではなく、IT・エレクトロニクス業界に関わる人たちによって開発・製品化されたという点が象徴的といえる。

 そのなかでもフォトシンスは、各社が製品化・販売開始する前の2014年の段階から、スマートフォンと住宅の鍵を組み合わせた技術を発表していたことから日本における「スマートロック」のパイオニアと位置付けることができる。

 今回は、そうした経緯を踏まえて、フォトシンスの広報担当の山岸麗美氏に、スマートロック「Akerun」で「できること」や運用面や防犯面に関して気になることを聞いてきた。

●既存の鍵の上に貼り付けるだけで導入できるスマートロック

 冒頭で少し解説したように「Akerun」の特徴は、既存の鍵にも後付けで簡単設置できる点にある。取り付け方は、ドアの内側にある鍵のサムターン部分を覆うような形で「Akerun」本体を貼り付けるだけ。設置面は特殊な粘着テープを使用しているため、簡単に外れることはなく、工事の必要は無い。

 また、解錠・施錠の操作は、専用のスマートフォンアプリの操作で行えるので、従来のようにキーをシリンダーに差し込むといった操作も必要なく、アプリ経由で、合鍵を共有したい相手に管理者が解錠・施錠権限を与えたり、特定の時間・日にちのみ解錠・施錠が行える設定にすることもできる。

 こうした特徴から、一般住宅への設置はもちろん、不動産業界で課題となっていた内見物件の合鍵管理の合理化や、レンタルルーム&スペースの施錠・解錠管理、事業所の鍵管理などの用途で注目され、実際、フォトシンスでは、2014年3月に不動産・住宅情報サイト「HOME'S」(ホームズ)を運営するネクストと共同で内見物件での「Akerun」の試験運用など、さまざまな分野で実証実験を行っている。

 そして2014年9月には、スマートウォッチと連携する機能が追加され、同年11月に発売された「Akerun Touch」を設置することで、スマートフォンをかざすだけで操作せずに解錠できる機能が追加された。

●合鍵の共有もカンタン&安全

 多くのスマートロックに共通する特徴ではあるが、「Akerun」の特徴としても挙げられるのが、合鍵の共有機能。「Akerun」では、管理権限を持つ人間(オーナー)が、任意の人に鍵権限を与えることができる。

 これによる防犯面のメリットとしては、物理的なキーと違って、無断でキーを複製されたり、紛失される心配がなく、時間指定の権限付与ができるため相手に合わせた利用の制限が可能だ。さらにオーナーは、スマートフォンアプリによる開閉の利用履歴を見ることもできるので、いつ誰が開け閉めしたのかを把握することができる。

●もし鍵権限のある端末を落としたら?

 しかし、一点だけ注意する必要があるのが、鍵権限を持つスマホ端末の紛失に関して。こちらもスマートロック全体に言えることだが、従来の物理キーなら、キー単体ではどこの誰が使っているものなのかを判別することは難しいが、スマートロックでは、さまざまな個人情報がつまったスマホとセットで運用するため誰の鍵なのかを特定されてしまう可能性がある。

 そのためユーザーは、スマホ端末のセキュリティに対しても無自覚ではいられない。最低でもスマホ端末にロックをかけたり、紛失&盗難時に備えて遠隔ロックやデータ消去が行えるサービスの加入を検討する必要があるだろう。

 ちなみに「Akerun」では、それらの問題の解決策として鍵権限を持つスマホ端末を紛失した場合には、Web上の管理画面からアカウントを一時停止することができる。また、サポートが24時間電話対応している。

●さらなる進化が予想されるスマートロック

 今回は主に「Akerun」にフォーカスして紹介してきたが、2016年に入ってからもスマートロック市場の動きは活発で、2月1日に三菱地所が「NinjaLock」を提供しているライナフへの出資及び、同製品を使った無人内覧システムの試験導入を発表したり、Qrioが「Qrio Smart Lock」の追加パーツの発売やAPI/SDKの提供開始を発表。

 そして今回取材したフォトシンスも専用アプリのダウンロード不要で、スマホ、タブレット、スマートウォッチ、PC、フィーチャーフォンで鍵の開け閉めができる「Akerunオンライン鍵管理システム」という新サービスを発表している。

 先行する3社に加えて、カギメーカー各社もスマートフォンを使って解錠する電子錠を展示会などに参考出展しており、2016年のスマートロック市場は昨年以上にさまざまな新サービスの展開が予想される。

【深掘り!#002】カギ業界の最新トレンド「スマートロックの今」

《防犯システム取材班/小菅篤》

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