消費者庁の徳島移転が現実味、政府機関の地方移転構想で地域活性 画像 消費者庁の徳島移転が現実味、政府機関の地方移転構想で地域活性

インバウンド・地域活性

 政府機関の地方移転構想の中で、消費者庁(東京都千代田区)の徳島県への移転が現実味を帯びてきた。3月に神山町に“お試し移転”を実施する予定で、東京一極集中の是正、地域活性化につながるとの期待の声もある。一方、30を超す消費者団体が「他省庁との連携に支障が出る」などと移転反対を訴えている。

 山に囲まれた人口約6000人の神山町。消費者庁は試験的に3月の1週間、ここに職員を派遣して実際に仕事をする予定だ。そこで移転した際の課題を洗い出す。

 同町は、空き家にIT企業などの支社を誘致し、移住者を増やす農村ビジネスの先進地として注目される。同町の特定非営利活動法人(NPO法人)グリーンバレーが企業誘致を仕掛け、現在12社が縫製工場を改築した共同の仕事場や古民家で働く。

 大南信也理事長は「企業を誘致の際も『できるわけない』と批判された。新しい挑戦に反発はある。それを乗り越えなければ、東京一極集中、地方の人口減少問題は打破できない」と説く。

 徳島県は、全域に光ファイバー網を普及し情報通信基盤を整備しているためテレビ会議が実現しやすい。消費者教育や食の安全施策を進めてきた実績もアピールし、移転候補地に選ばれた。

 県は「消費者庁の職員、その家族が移住すれば、人の交流も増え、地方の活性化に大きな効果がある。消費者行政に携わる人材育成も進められる」(地方創生推進課)と受け入れ準備をする。

 同県石井町の農家(68)も「本気で地方創生に取り組むなら、多少の問題があっても移転すべきだ。どこかが先陣を切らないと、東京だけに人が集まる状況は変わらない」とみる。
消費者団体反対意見も 「食の安全守れぬ」
 消費者団体からは、移転に反対する声が多い。全国消費者団体連絡会によると、2月時点で34の消費者団体、20の弁護士や司法書士の団体が反対を表明しているという。

 そもそも同庁は中国産冷凍ギョーザ事件などを受け、2009年に発足。機能性食品の制度設計や加工食品の原料原産地表示の検討など、全国の消費者、生産者にとって重要な施策を扱っている。

 主婦連の山根香織参与は「食関連の事故対応は命に関わる。素早く対応しなければならない。事業者や農水省との対面での協議が欠かせないはず」と主張する。

 3月末には内閣官房まち・ひと・しごと創生本部が移転の是非を判断する基本方針を発表する見通し。同本部は「さまざまな意見や課題を検討して政府として判断する」としている。(尾原浩子) 

 政府機関の地方移転 2014年度に閣議決定した「地方創生の総合戦略」に盛り込まれた。政府が民間企業の地方移転を要請していることから、その模範を示す考え。消費者庁(徳島)、文化庁(京都)、観光庁(北海道、兵庫)など8道府県に七つの中央省庁の移転を検討している。 

政府機関 地方移転構想 東京集中 是正に期待 消費者庁 徳島県へ 

《日本農業新聞「e農net」》

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