つぼ焼き芋、デザイナーの力でヒット…高校で「やきいも学」も 画像 つぼ焼き芋、デザイナーの力でヒット…高校で「やきいも学」も

インバウンド・地域活性

 店舗が入らず数年前まで閑散としていた神奈川県大磯町のビルが、焼き芋の香ばしい香りで一躍、人気スポットに生まれ変わった。店の名は「やきいも日和」。つぼの中にサツマイモをつり下げ、約200度の練炭の熱で1時間かけて蒸し焼きにした「つぼ焼き」製法で、手掛けるのは県内で活躍するデザイナーの長橋徹さん(36)。地元高校では「やきいも学」の授業も展開、古くて奥深い焼き芋の魅力を発信しようと張り切る。
・栽培体験から文化歴史、包装紙まで 高校で授業も

 店は11月中旬から4月末の月曜と木曜日、JR大磯駅から5分ほどのビルの軒下で営業する。つぼ焼きにすると外は香ばしく、中はしっとりと焼けるのが特徴だ。

 長橋さんは同県出身で多摩美術大学を卒業し、東京都内のインテリア設計事務所で働き、海外勤務を経験。会社を辞めて地元にUターンした時、目に付いたのが焼き芋だった。

 スーパーで、紙袋に入れて無造作に売られていた焼き芋を見て「栄養価が高く江戸時代から食べられているサツマイモ。古き良き作物なのに、その良さがなかなか伝わっていない。自分が培ったデザイン力でその良さを伝えられるのではないか」と感じた。

 海外では日本の盆栽が脚光を浴びる中、焼き芋の奥深さは、いまひとつ知れ渡っていないことがきっかけとなった。

 2008年、デザインの仕事をしながら、営業を開始。芋は冷めてもおいしい「べにはるか」を採用。価格は1本330円からで、芋が焼けると人だかりができてすぐ売り切れてしまうほど。1シーズンで約3000本を売り上げるという。

 焼き芋の魅力をもっと知ってもらおうと、PRちらし「焼き芋マガジン」も発行した。焼き芋は食物繊維が多く便秘解消につながることや、皮ごと食べれば胸やけやおならが防げるなど、写真やイラストを交えながら魅力を紹介。レトロな雰囲気の贈答箱も用意した。

 地元の高校から依頼を受け、13年からは販売だけでなく「やきいも学」と題した授業を展開。サツマイモの歴史や栄養について教え、校内の畑で生徒と共に栽培もしている。生徒は自分たちが育てたサツマイモが焼き芋になるまでを体験し、包装紙のデザインも学ぶ内容だ。「文化や歴史、販売方法まで、焼き芋の奥深さを若い世代に伝えたい」と長橋さん。

 常連客という同町の今井妙子さん(82)は「いつもすぐに売り切れる人気ぶり。お兄さんの親しみやすい人柄も良いし、地元が明るくなってうれしい」と喜ぶ。同県綾瀬市から買いに来た大野邦明さん(36)は「芋が裏ごししたようになめらか。甘くておいしい」と絶賛する。(白栁いずみ)

つぼ焼き芋 デザイン力でヒット 奥深い“和の魅力”発信 神奈川県大磯町長橋徹さん(36)

《日本農業新聞「e農net」》

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