まるでフランス料理、介護食でコースなど提供する静岡レストラン 画像 まるでフランス料理、介護食でコースなど提供する静岡レストラン

インバウンド・地域活性

 静岡県浜松市のフレンチレストラン「食楽工房」は介護が必要な高齢者や障害者などに優しい「ユニバーサルレストラン」だ。野菜はJAとぴあ浜松のファーマーズマーケットから仕入れ、見た目では通常のフランス料理と変わらない介護食を提供する。介護する人とされる人が一緒に食事を楽しむことができるのが魅力で、2009年のオープン以来、県内外から多くの人が訪れる店となった。
 同レストランは「ふじのくに食の都づくり仕事人」でもある、シェフの古橋義徳さん(64)が切り盛りする。長年、同市のホテルで料理長を務めながら、27歳の時から、地域の高齢者施設などでコース料理を提供するボランティアをしていた。料理を食べて多くの人が喜ぶ顔を見て「高齢者や障害者でも、食べに来られるレストランをつくりたい」と思うようになったのがきっかけだ。

 採算が取れないのではないかと周囲の反対もあったが、妻のたず子さん(63)も介護食士の資格を取得、長年の夢を実現させた。

 メニューは一品料理の他、日替わりやランチ、ディナーコースがある。提供する介護食は、普通に調理した後、ミキサーにかけてこした後、ゼリーに仕上げる。どれもかまずに食べられる。ただ、介護食は通常の倍の材料が必要で手間も4倍掛かることから、通常の料理の500円増しで対応している。

 店内の設備にもこだわりがある。普通のトイレと車椅子用、人工肛門などに対応するオストメイト用を設置。車椅子用に通路の幅も広くし、全席車椅子対応とした。つえを掛けるフックやスロープ、車椅子でも乗り降りしやすい広い駐車場も完備。介助犬や聴導犬、盲導犬の同伴もできる。

 客層はさまざま。脳梗塞の夫と来る女性や、寝たきりでストレッチャーに乗って来る人、横浜市や三重県の施設からマイクロバスでやって来る団体客もいる。外食できる喜びもあり、完食するお年寄りは多いという。

 現在、古橋さんはJA女性部での介護食や健康食の料理教室の講師や、小学校での講演など多彩に活躍中。「食べたいという欲が、外に出たいという意欲につながり、生きがいになる。身体能力に関係なく、誰もが楽しく食事ができるような店にしたい」と展望する。

介護食 豪華に おいしさ楽しさ提供 静岡のレストラン「食楽工房」

《日本農業新聞「e農net」》

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