日本酒の「海外売り込み」に酒蔵、日本酒業界が本腰 画像 日本酒の「海外売り込み」に酒蔵、日本酒業界が本腰

マネジメント

 日本の祝い行事とも深く結び付く日本酒。その国民的な酒を海外に売り込もうと酒蔵や日本酒業界が本腰を入れている。日本酒の輸出は年々増加しているが、ワインと比べて世界的な市場規模はまだ小さい。酒蔵がコース料理に合うようにスパークリング(発泡性)や長期熟成など多様な日本酒を開発したり、日本酒を正しく知ってもらうために輸出団体が海外の有名店のシェフを招いたりするなど、新たな展開が生まれている。
スパークリング 期熟成・・・
 群馬県川場村の永井酒造では、日本酒「水芭蕉」がフランス南部リヨンにあるミシュランガイドの三つ星レストラン「メゾン・ピック」で2月から採用されることになった。決め手となったのは、同社が提案する日本酒の幅広さだ。

 同社は「永井スタイル」と称し、「水芭蕉」を通常の純米吟醸・大吟醸酒だけでなく、食前にはスパークリング、肉料理には赤ワインに相当する熟成酒、食後にはデザート酒――の4種類をシリーズ化。試飲したシェフから「料理のイメージがかきたてられた」との評価を得た。

 同社が「永井スタイル」の商品開発段階から念頭に置いたのはワインだという。永井則吉社長は「海外で日本酒の多くは、白ワインと競合している」と分析する。赤、白、スパークリングなど種類が豊富なワインに対抗するには、日本酒もさまざまな料理と組み合わせられる必要があると考えた。「日本酒を『日本食だけに合う酒』にしたくない」との思いからだ。

 同社は既に米国、香港など20カ国以上に輸出する。ブランド力をさらに高めるために「トップレストランにいかに食い込んでいけるかが勝負」(永井社長)とし、食に貪欲で発信力が高いパリ、ロンドン、ニューヨークの三つ星レストランを中心に集中的に販売促進する方針だ。現状の輸出額3500万円を2020年までに1億円に増やす目標を立てる。

シェフ招き“伝道師”に
 日本酒の輸出促進に向け、オールジャパンでの取り組みも本格化している。14年に発足した全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会には、約30社の酒蔵が会員として参加する。個々の酒蔵では経済的負担が大きい海外での日本酒PR活動や、海外の需要動向調査を担う。酒税制度や規制など複雑な仕組みも調べ会員に提供する。米田実専務は「海外では日本酒にプラスのイメージはあるが、どの料理に合うのかなど具体的な良さが浸透しきれていない」と課題を挙げる。同協議会は昨夏、イタリアの有名店のシェフを日本の酒蔵に招き、日本酒を学んでもらう機会を設けた。有名店を呼べば帰国後の普及に期待できるためで、今月はフランスからも招へい予定だ。

 全国の若手蔵元でつくる日本酒造青年協議会も、世界最高権威とされるワインコンペティション「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」の日本酒部門の審査に協力し、日本酒の専門知識をアドバイスする。入賞銘柄はブランド力が高まる実績も挙がっており輸出への弾みになる。

市場の拡大 稲作に弾み 
 日本酒の輸出額は2014年115億円で過去最高となった。15年はさらに上回る見通し。フランスのワイン輸出額約1兆円と比べれば規模は小さいものの、国内の日本酒消費量が焼酎などに押され低迷する中で、輸出の増加は明るいニュースだ。

 主食用米の消費が減り続ける中、日本酒の輸出が増えれば、原料の米の需要増も期待できる。日本酒の生産増に対応した酒造好適米の増産分は、生産数量目標の枠外で生産できるようになるなど、米政策の中でも支援環境が整った。

 地元以外の米を原料とする酒蔵が多い中、純米吟醸「日本刀」を米国やアジアに輸出する静岡県浜松市の花の舞酒造は、原料の米は全て同県産米で地酒にこだわる。生産履歴がたどりやすく「購入者の安全・安心につながる」(輸出部)と利点を強調する。

日本酒 多様性で攻め 輸出もっと 業界あの手この手

《日本農業新聞「e農net」》

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