微生物による汚染地下水浄化、期間半減の新技術開発 画像 微生物による汚染地下水浄化、期間半減の新技術開発

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 大成建設と製品評価技術基盤機構(NITE、辰巳敬理事長)は7日、微生物を用いた汚染地下水の浄化技術で、従来方法の半分以下の期間で浄化できる技術を共同開発したと発表した。有害な塩素化エチレン類を無害なエチレンに完全浄化する特殊な細菌だけを抽出。この菌を増殖促進菌と一緒に培養することで、増殖速度を従来の倍以上にし、脱塩素化を速めるのが特徴だ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と経済産業省からの受託事業の成果として得られた。
 今回の浄化技術に基づく土壌・地下水の浄化事業計画が、経産省と環境省が策定した「微生物によるバイオレメディエーション利用指針」に適合しているとの確認を受けた。両者は今後、実汚染サイトで浄化効果を確認し、さらなる浄化効率の向上を図るための研究開発を推進。浄化事業に適用する枠組みを構築して、1~2年後にも実用化したい考えだ。
 塩素化エチレン類を完全に脱塩素化できる嫌気性脱塩素細菌として、デハロコッコイデス属細菌だけが確認されているが、この細菌は人為的に速く増殖させることが難しい。単離(複数の細菌から純粋な1種類の細菌だけを抽出する)は国内で一度も成功していない。
 両者は高度な集積培養と単離技術を用い、デハロコッコイデス属細菌の「UCH007株」の単離に国内で初めて成功。この菌の増殖を促進するスルフロスピリラム属細菌の「UCH001株」を世界で初めて発見したという。単離したUCH007株とUCH001株とを混合培養(二つの菌を一緒に培養する)し、UCH007株の増殖速度を倍以上に高め、脱塩素化を速やかに進行させる。
 脱塩素細菌と増殖促進菌の2種類の菌を組み合わせた浄化技術に基づく浄化事業計画が同指針に適合していると、15年11月25日付で経産相と環境相の確認を得た。これにより、両者は混合培養によって安全性と浄化効果の高い菌体を安定して高速培養することができるようになった。
 汚染サイトに生息している微生物を活性化させる従来方法では、浄化が完了するまでに通常2~3年程度を必要とする。微生物を人為的に導入する今回の方法では、浄化期間を従来の半分以下に短縮することが可能になる。
 金属部品の洗浄剤や溶剤として広く使用されてきた塩素化エチレン類は、地下水中で拡散しやすく、汚染が広範囲に及ぶ。土壌汚染対策法で規定されている第1種特定有害物質(揮発性有機化合物)による地下水汚染の件数のうち、塩素化エチレン類の汚染が8割以上を占めるという。近年は浄化期間を短縮するため微生物による浄化方法の適用を進めており、安全で効果的な浄化技術の開発が求められている。

大成建設、NITE/微生物活用の汚染地下水浄化技術開発/浄化期間半減、効果確認へ

《日刊建設工業新聞》

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