「危機管理学部開設の狙いは」日本大学法学部・福田充教授インタビュー 画像 「危機管理学部開設の狙いは」日本大学法学部・福田充教授インタビュー

マネジメント

 ◇災害対応の専門家養成
 大地震や豪雨、火山噴火などによる自然災害が起きた時の対応は、建設産業の大きな役割の一つでもある。こうした災害リスクを事前に予防し、かつ災害が起きたときの対応を迅速に行えるエキスパートを育成しようと、日本大学に今年4月、「危機管理学部」が開設される。危機管理学部の開設準備に携わってきた日大法学部の福田充教授に、新学部を開設する目的や教育内容などについて話を聞いた。
 --危機管理学部開設の目的は。
 「危機管理学部の開設は、危機管理のエキスパートを育成することが目的だ。日本大学創立130周年記念事業の一環として開設するもので、今年4月、東京都世田谷区三軒茶屋にある生物資源科学部跡地で整備を進めている新キャンパスに誕生する」
 --なぜ今、危機管理学部が必要なのか。
 「1995年に阪神大震災が発生し、その2カ月後には東京で地下鉄サリン事件が起きた。どちらも対応の遅れがメディアなどで批判されたことを多くの人が覚えているだろう。あれから20年がたったが、その後、危機管理体制の整備が十分に進んだかといえば、そんなことはない。2011年の東日本大震災では、津波で多くの犠牲者を出してしまった」
 「自然災害やテロなどが頻発しているにもかかわらず、わが国で十分な危機管理体制が構築されない理由の一つに、人材不足が挙げられる。人材が不足しているのは、大学や高校などできちんとした研究・教育が行われていないためだ。そこで日本大学としては、社会のさまざまな現場に、危機管理の能力を持った人材を輩出していくことを目的に危機管理学部の開設を決意した」
 --危機管理学部ではどのような教育を行うのか。
 「危機管理学部は入学定員が300人。法に基づいて危機対応を組織的にマネジメントできる人材を育成するため、卒業生に与えられる学位を法学士としているのが特徴だ。2年次から、官庁や地方自治体の職員を目指す『行政キャリア』と、一般企業を目指す『企業キャリア』に分かれ、進路に応じた教育を受けられるようにする」
 「専門科目を構成する科目群は、『災害マネジメント』『パブリックセキュリティ』『グローバルセキュリティ』『情報セキュリティ』の四つの領域に分け、行政キャリア、企業キャリアのそれぞれから一つの領域を選択できる」
 --具体的にはどのような科目を学ぶのか。
 「災害マネジメント領域では、災害時の避難や被災地の復旧・復興などの知識を身に付けるために、災害対策論や自然災害論などを受講する。パブリックセキュリティ領域では、公共の安全を確保するための警察制度や司法制度について学ぶ。グローバルセキュリティ領域では、戦争や国際テロなど、国際的な取り組みが求められる問題について学習する。情報セキュリティ領域では、情報管理やサイバーセキュリティ論などを学ぶことになる」
 「危機管理は、災害、犯罪、テロなど幅広い対応が必要になるだけでなく、事前防止のリスクマネジメントと事後対応のクライシスマネジメントと、時間軸でも対応策が異なってくる。そのため、多様な講義や演習科目を用意しているのが大きな特徴だ」
 --危機管理学部が開設される新キャンパスにはどのような施設が整備されるのか。
 「新キャンパスは、閑静な住宅地に位置していることから、地域開放型の緑豊かな空間にしている。建物は、道路を挟んだ二つの敷地にそれぞれ、地下2階地上8階建て延べ約4万平方メートルの『1号館』と地下2階地上3階建て延べ3100平方メートルの『2号館』を整備している」
 --キャンパスの特色は。
 「危機管理学部が使用することから、新キャンパス全体で防災機能を高めているのが特徴だ。災害が発生した時には地域の防災拠点となるよう、食料や毛布などを備えた備蓄倉庫を地下に設置しているほか、キャンパス内には簡易かまどにもなるベンチや、簡易トイレを整備するなど、BCP(事業継続計画)対応にも重点を置いたキャンパスとしている」
 「新キャンパスには、『スポーツの日大』の復権を目指すために開設する『スポーツ科学部』も併せて設置されることになっている。1号館は、教室や事務室、食堂などのほか、アリーナやプール、柔剣道場、相撲場、トレーニングルームなどを配置しており、体育施設を充実させているのが特徴だ。2号館には図書館のほか、ラーニングコモンズも設け、自学自習を支援する環境を提供する」。
 □日本大学法学部教授・福田充氏/経歴□
 ふくだ・みつる 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。政治学博士。専門は危機管理学、リスクコミュニケーション。4月に危機管理学部教授に就任予定。兵庫県出身、46歳。

インタビュー/日本大学法学部・福田充教授/危機管理学部開設の狙いは

《日刊建設工業新聞》

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