新年・行政業界展望2…これからのゼネコン 画像 新年・行政業界展望2…これからのゼネコン

マネジメント

 2016年のゼネコン各社は、底上げされた利益水準を維持することに力を注ぐ一年になりそうだ。昨年は東日本大震災以降、労務・資材費の高騰で利益を圧迫してきた赤字工事がなくなると同時に、その後に単価の上がった好採算工事の売り上げ計上が進み、先行する土木に続き、建築でも完成工事総利益率が改善した企業が多かった。中間期に過去最高益を達成する企業も相次いだ。
 各社の利益を押し上げたのは、激しい価格競争を強いられない安定した受注環境だ。2020年東京五輪開催を契機とした建設需要の拡大に加え、2027年開業を目指すリニア中央新幹線計画など大型プロジェクトが続く。政府が掲げる国土強靱(きょうじん)化に向けた防災・減災事業は、大きな自然災害が頻発する中で継続して取り組まなければならない課題だ。
 そうした需要を背景に、ゼネコンの経営トップの中には「国内の建設事業は五輪を突き抜け、中期的に見ても今の状態が続く」(大手社長)との意見もあり、五輪後も建設市場の大幅な縮小には至らないとする見方が強い。
 一方で、「国内の建設市場は少子高齢化の進行で、これまで通りにはいかなくなる」(準大手社長)との見方も少なくない。将来的な国内需要の落ち込みを、海外事業の強化や新領域でカバーしようとする動きが活発化している。
 海外は東南アジアに拠点を置く企業が多く、日本の政府開発援助(ODA)案件にとどまらず、地元企業や欧米企業からの受注拡大を目指し、ローカル企業との連携や現地の人材育成に力を入れる企業が目立つ。国内の新領域事業は再生可能エネルギー分野が中心で、太陽光に続き、風力、バイオマス発電事業が本格化。農業など新しいビジネスも出てきた。
 新設から維持・更新へ移行する市場の変化に対応した体制づくりも欠かせない。ある準大手のトップは「建築のリニューアルなど、グループ会社が手掛ける市場が大きくなれば、本体から人や金を移動させる必要がある。今から訓練しておく」と話し、本体や子会社などグループ間の人的交流を強めている。
 別の準大手のトップは、「人件費や資材費の値上がりで建設費が今後いつ高騰するか分からない。その試練を小さくするためにも足腰を鍛えておく必要がある」とし、人材育成に力を入れる方針を示す。
 人手不足による損益の悪化を避け、改善されてきた利益率を継続していくためには、省力化・工業化による生産性の向上と協力会社との連携も一段と重要になる。

16年元日号/行政・業界展望・2ーゼネコン/本業をより盤石に、新領域も

《日刊建設工業新聞》

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