【展望2016・下】ゼネコン、担い手確保が最重要課題/協力会と一体で取り組み 画像 【展望2016・下】ゼネコン、担い手確保が最重要課題/協力会と一体で取り組み

マネジメント

 ◇女性にも大きな期待
 2020年東京五輪に向けて関連施設やインフラの整備が本格化する。急増するこれらの需要に対応することはもちろん、業界の存続を懸けて、ゼネコン各社は今後、協力会社と共に担い手の確保・育成に全力を注ぐことになりそうだ。
 技能労働者の処遇に直結する公共工事の設計労務単価はこの数年で大幅に引き上げられたが、行き過ぎた重層下請構造の影響もあり、引き上げ効果が末端の労働者まで十分には行き渡っていないとの指摘もある。多くのゼネコンのトップが「下請業者と労働者にきちんとお金が回らなければ、担い手がいなくなってしまう」と危機感を募らせる。
 賃金と共に、技能労働者の処遇改善の第一歩となるのが社会保険加入だ。大成建設の村田誉之社長は「(官民で検討中の)建設技能労働者経験蓄積システムや社会保険加入促進などに積極的に取り組み、技能者の処遇改善と資質向上に向けた活動で先頭を切っていく」と明言する。
 技術者・技能者の教育のあり方の見直しを始めたのは清水建設。宮本洋一社長は「まずは1次下請が直用の技能者を増やすため仕事の平準化を進めていきたい。従来の商習慣もあり、あつれきも生じるだろうが、できるところから始めたい」と語る。
 飛島建設は昨年、協力会社との連携強化に向け、「パートナーシップ強化策」を打ち出した。協力会の活性化を図るため組織を再編成。優秀な技能者の手当を厚くする「マイスター制度」も運用している。伊藤寛治社長は「協力会会員会社の職員の各種資格受験の指導にも当たっている」と話す。
 現場で働く女性技術者・技能者「けんせつ小町」が脚光を浴びる中、女性の活躍に大きな期待を掛けるトップも多い。今年、初の女性役員が誕生した西松建設の近藤晴貞社長は「女性社員が自発的に動き、さまざまな活動を展開している。意欲を持って働き続けられる体制や環境を作る」と力を込める。
 マンションづくりのすべての業務に女性社員が携わるプロジェクトを始動させた長谷工コーポレーション。辻範明社長は「女性ならではの視点や思いを生かした住み心地の良いマンションづくりに取り組む。長谷工グループの新しい面が出てくるかもしれない」と期待する。
 東京・渋谷の工事現場に女性専用の休憩所を設けた東急建設の飯塚恒生社長は「結婚や出産などのライフイベントに向き合いながらどう活躍してもらうか。さまざまなケースを想定し、活躍の場を広げていきたい」と話す。
 人材育成は各社に共通する最重要課題。中長期的な内需の減少を見据え、海外事業にも対応できる人づくりが加速してきた。竹中工務店の宮下正裕社長は「マネジメント力の高いグローバル人材を育成する。海外で身に付けた力は国内にも生きる」と強調する。
 ナカノフドー建設は、東南アジア5カ国に置く現地法人などでスタッフのローカル化を推進するとともに、要職ポストに積極登用。タイではローカル社員を教育するための研修センターを本年度に開設した。竹谷紀之社長は「当社の海外事業はローカルスタッフの比率が高いのが特徴。日本式の安全や品質を教育する」と狙いを語る。
 安藤ハザマは今年、新入社員の長期研修を開始した。土木と建築に分かれた実習では、それぞれ構造物の計画から施工まで、現場で職人が行う作業を経験してもらったという。野村俊明社長は、「実際に体験してみることが大切。人件費や資材費の値上がりで建設費が今後いつ高騰するか分からない。その試練を小さくかわすためにも足腰を鍛えておく必要があり、人材の育成は欠かせない」と話す。
 多様な人材の登用とその能力を十分に発揮できる環境づくりが一段と進みそうだ。
 (16年1月4日から各社長のインタビューを掲載します)

展望2016・下/ゼネコン、担い手確保が最重要課題/協力会と一体で取り組み

《日刊建設工業新聞》

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