ついにゴールへ、50キロのトレイルラン、記者が体験(7) 画像 ついにゴールへ、50キロのトレイルラン、記者が体験(7)

インバウンド・地域活性

 勤務先の日本教育新聞社などがスポンサーとなって埼玉県内の山林を舞台に初開催されたトレイルランの大会。「Fun Trails 100K&50K」の名を冠し、参加者は全国から集まった。

 50キロの部に参加した筆者は午前7時のスタートからいくつかの山を登っては下り、50キロ地点に到着。明るいうちに走りきろうと10時間でのゴールを目標に据えた。ゴールまで残すところ6キロとなった。目標達成には40分以内で走りきらなければならない。

 この記事を書き始めてから「山道を56キロも走るなんて、フルマラソンよりずっときついでしょう」と何人かから質問された。人にもよるだろうが、筆者の場合は、フルマラソンの方がきついと思う。その訳はトレイルランは登り区間などで歩いていると、疲労が回復することにある。筆者の場合は、よく滑る靴をはいてきたため、下り区間でも歩かざるを得なかった。

 こうして迎えた50キロ地点。9時間以上もの間、一度も座ることなく、常に動かし続けた足腰に痛みが出始めていたものの、気力も体力も下り区間で充電されたかのようにみなぎっていた。

 ただ、この先は、1週間前の試走ではたどっていない経路となる。ゆるやかに登ることは分かっていたが、50キロを駆けてきた身にどれほど痛烈なパンチを与えるかは想像を超えていた。

 下りで道を譲った選手を次々と抜き返せたのは最初の10分間ほど。緩やかな登りでも、もう速度は上げられない。呼吸が苦しいわけではなく、足が上がらなくなる。前を走る選手との距離が縮まらなくなってくると、フル充電だったはずの気力も炭酸が抜けたビールのように弱々しくなってくる。

 短い下りを抜けると長い登りが待っている。それを何度も繰り返す。ゴールは公園内に設けられている。いつまでも公園の場所は見えず、公園に入ってもゴールの場所は見えない。最後の登りを片付け、ゲートが見えたときには既に、選手を見守るスタッフはライトを点灯し始めているころだった。

 マラソンの大会とは違い、スタッフは選手がゴールに近づくたびにテープを張って待っていてくれる。1人の男性選手とほぼ同時にテープを切った。所要時間は9時間56分48秒。10時間まで3分と12秒余らせて56キロの旅を終えた。

 腕時計を見ようと下を向いたときだっただろうか。一緒にゴールを超えた選手の足元が見えた。選手は靴をはいていなかった。サンダルだったのである。ハンドボールほどの大きさの石が転がり、その上の落ち葉が積もったあの道をサンダルで下ってきたのである。

 正確にはサンダルではなかったようだ。メキシコの山岳地帯で暮らす人々が使う「ワラーチ」という履き物がある。靴下ははかず、足はむき出しだ。そんな格好で未舗装の山道を走る人がいるらしいことは、インターネットを通して知ってはいたが、本当にいるとは。それも56キロの距離を。

 50キロの部で優勝した選手は5時間46分で走りきっている。記録に残る最下位選手は14時間半をかけてゴールにたどりついた。優勝を目指した選手がいれば、制限時間となっている14時間での完走を目指した選手もいる。筆者のように日没を目標にした選手や、サンダルで走りきることを目標にした選手もいる。

 所要時間も楽しみ方も人それぞれだろう。一つ言えることは、目標を定め、到達に向けて自分の力を注ぎこむことの面白さだ。大会を終えて1カ月が経った今、この思いを日常生活に生かしたいと思っている。

 最後に、大会を企画した現役トレイルランナーの奥宮俊祐さんをはじめ、大会を支えていただいたスタッフの方々、大会に快く送り出していただいた勤務先の上司など関係するすべて方々に感謝したい。ありがとうございました。
日本教育新聞

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