半世紀にわたり部品供給…宇宙産業支えるリアル「下町ロケット」 画像 半世紀にわたり部品供給…宇宙産業支えるリアル「下町ロケット」

インバウンド・地域活性

 松本産業(東京都江戸川区)で航空・宇宙関連部品の設計・製作を行う高崎政之さん(69)。1965年4月から半世紀もの長い間ロケット製作に携わり、ロケットの進化を支えてきた1人だ。

 高崎さんがロケットを作りたいと思い立ったのは、64年に観測用ロケット「ラムダ」が高度1000キロメートルに到達したという新聞記事を見たことがきっかけだ。

 当時、高崎さんは、茨城県立土浦工業高校機械科の生徒だった。翌年4月、プリンス自動車工業(現日産自動車)に入社し、宇宙航空事業部へ配属。念願のロケット製作を担うことになった。

 高崎さんの入社から5年後の70年、日本初の人工衛星「おおすみ」が打ち上げに成功した。打ち上げまでは着火のトラブルや切断部分の衝突事故など4度の失敗を経験。それらの部品の改良品開発を担当した。

 その後、ハレー彗星観測用のロケットを手がけ、77年頃にはロケットの構造設計や分離放出機構(パラシュート)などロケット製作の大部分を担当し、総括的役割も任された。日産の同事業部がIHIエアロスペースとなってから9年後の09年に定年退職。現在、松本産業でロケット製造のための工具製作に打ち込んでいる。

 高崎さんは「ロケットは1人では絶対に作れない。数え切れない数の人の力を合わせたチーム力が成功へ近づくカギ」と強調する。現在、データベースが豊富で昔以上に失敗が許されない風潮があることについて、「経験のない若手には気の毒」としながらも、「一つのことにこだわらず、俯瞰(ふかん)的に物事を考えるとうまくいきやすい。周りによく耳を傾け、物事を本質から考える癖をつけてほしい」とこれからの若手に期待を寄せる。
(文=高橋沙世子)

※日刊工業新聞では毎週水曜日に「マイスターに聞く」を連載

リアルな「下町ロケット」 半世紀にわたり部品を作り続けるマイスター

《ニュースイッチ by 日刊工業新聞》

編集部おすすめの記事

特集

インバウンド・地域活性 アクセスランキング

  1. 横浜北線、3月18日に開通。物流効率化や地域活性化へ

    横浜北線、3月18日に開通。物流効率化や地域活性化へ

  2. 富裕層インバウンドの法則その3

    富裕層インバウンドの法則その3

  3. 外環道・都内区間整備、本線トンネルのシールド掘進を開始!

    外環道・都内区間整備、本線トンネルのシールド掘進を開始!

  4. 「完全個室」超豪華高速バス競争が勃発。各社の戦略は?

  5. 遊休物件のコテージが、シーズン稼働率9割を実現した理由

  6. 険しい道の「徒歩の遠足」…50キロのトレイルラン、記者が体験(2)

  7. 富裕層インバウンドの法則その4

  8. 渋谷区の"世界一汚いトイレ"、なぜ日本トイレ大賞をとれた?

  9. セグウェイ超えられるか? 滋賀のベンチャーがハンドル操作の電動一輪バイクを市販へ

  10. 自民党幹事長・二階俊博氏に聞く。糸魚川大火の対応は迅速だったのか?

アクセスランキングをもっと見る

page top