国交省、管理・国土保全局長に聞く、洪水対策5年で集中実施 画像 国交省、管理・国土保全局長に聞く、洪水対策5年で集中実施

インバウンド・地域活性

 ◇河川整備計画に氾濫後対応も
 国土交通省は、豪雨による河川の大規模氾濫に対応した減災対策として、「水防災意識社会再構築ビジョン」を策定し、今後5年間でソフト、ハード両面の対策を集中的に実施する。金尾健司水管理・国土保全局長が日刊建設工業新聞などのインタビューに応じ、どう取り組むかを語った。
 --ビジョン策定の経緯を。
 「9月の関東・東北豪雨では、いくつかの観測所で史上最大の降雨を記録し、鬼怒川が決壊して浸水被害が広がった。これを受けて社会資本整備審議会(社整審、国交相の諮問機関)河川分科会の中に『大規模氾濫に対する減災のための治水対策検討小委員会』を設置し、今月10日に答申を頂いた。キーワードは『水防災意識社会』の再構築だ。日本はもともと水害が起きやすく、昔の人は自らを守る意識で生活を営んでいたが、ハード対策が進んだ明治以降、水害の頻度が減り、備えることを忘れるようになった。水防災意識社会は、洪水は必ず起きるという意識をいま一度持ち、社会全体で備えようという発想で打ち出された」
 --ビジョンのポイントは。
 「まず大切なのは、水害リスクをきっちり評価し、共有すること。避難勧告を出す市町村長が、どの区域にどれくらいの水害がいつ発生するかを判断し、住民の自主的な行動も促す。そのために、行政目線だった従来のハザードマップを住民目線のものに改良する。スマートフォンで避難行動のきっかけとなる洪水予想をリアルタイムで提供するシステムもつくる」
 「ハード対策では、洪水を安全に流すための堤防のかさ上げなど、従来型の施設整備を今後5年間で1200キロ行う。堤防を水が越えても決壊までの時間を少しでも延ばせるような構造上の工夫を取り入れた危機管理型のハード対策も1800キロで集中的に行う。通常、堤防の整備は下流から上流に向けて進めるが、上流まで整備が至っていない場合でも、優先すべき箇所では天端をアスファルトで保護したり、のり尻をブロックで補強したりする対策を取る」
 --対策の実施体制は。
 「これまで別々に行われてきたソフト対策とハード対策を一体的に進められるよう、河川管理者、都道府県、市町村でつくる協議会を設置し、減災目標を共有して取り組めるようにする。市町村域を超えた広域的な避難を考える必要もある」
 --河川整備計画のあり方をどう考える。
 「従来の河川整備計画は洪水を安全に流すことを主眼に作られてきた。これを氾濫が発生した場合の被害を軽減する視点から見直したい。引き続き社整審の小委員会で議論してもらう」
 --鬼怒川の緊急対策を含め、工事を円滑に進める必要がある。
 「工程をしっかりと検討し、地元に公表して理解を得ながら進める。建設業界にもできるだけ分かりやすく予定を示し、地域の建設業者に活躍していただきたい」。

国交省・金尾健司水管理・国土保全局長に聞く/洪水対策5年で集中実施

《日刊建設工業新聞》

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