公共工事でのBIM活用、67自治体で9%にとどまる 画像 公共工事でのBIM活用、67自治体で9%にとどまる

インバウンド・地域活性

 ◇干渉チェックや施工図作成に利用
 地方自治体の公共建築工事でBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用事例がまだ少ないことが、国土交通省が47都道府県と20政令市に実施した調査で明らかになった。14年度発注工事のうち、団体ごとに上位3件を抽出し、合計201件の施工者にアンケートした結果、BIM活用工事は6団体の9件にとどまった。導入案件では、「部材の干渉チェック」や「施工図の作成」に活用しているケースが多く、これらがBIM活用普及への端緒になりそうだ。(編集部・岩本英司)
 調査は、今年6月から7月にかけて実施した。抽出した工事の施工者に、▽14年度の契約工事でのBIM活用の有無▽BIMの活用項目▽BIMの活用理由-といった質問をし、結果を集計した。
 集計結果によると、発注工事の中にBIM活用工事があったのは67都道府県・政令市中6団体で、全体の9%。工事件数では9件で全体の4%だった。
 導入した9件について、どのような場面でBIMを活用したかを複数回答可で聞いたところ、すべての工事で「部材の干渉チェック」に利用したとの回答が寄せられた。
 そのほかには、「施工図の作成」が5件、「プレゼンテーション資料の作成」が2件、「仮設計画の検討」が2件、「コスト管理のための概算数量算出」が1件となっている。
 「その他」を選択した4件の回答の中には、例えば「工事工程シミュレーション」に活用しているとの回答もあった。
 BIMを部材の干渉チェックや施工図の作成に活用した主な理由としては、「手戻りのリスク回避」といった回答があった。
 仮設計画の検討や工事工程のシミュレーションなどを通じて、「社内教育や作業員への周知」に活用するなどの事例もあった。プレゼン資料の作成などにBIMを活用することにより、「発注者などとの合意形成に活用」しているとの回答も寄せられた。
 公共建築へのBIM活用を促進するため国交省は、14年3月に「BIM活用ガイドライン」を策定した。ガイドラインには、3次元(3D)モデルの作成や利用に関する基本的な考え方や留意事項などを盛り込んでおり、設計者や施工者が自主判断で活用してもらう。
 同省の官庁営繕事業では、ガイドライン策定に向けてこれまでに、BIMの試行を▽新宿労働総合庁舎(東京都新宿区、設計=梓設計、施工=東洋建設)▽静岡地方法務局藤枝出張所(静岡県藤枝市、設計=徳岡設計、施工=名工建設)▽前橋地方合同庁舎(前橋市、設計=安井建築設計事務所、施工=建築・五洋建設、機械設備・日立製作所、電気設備・ユアテック)-の3件で実施した。試行案件では、受・発注者間の意思疎通や現場での作業指示を円滑化する上で効果があったことを確認している。
 ガイドライン策定後も営繕事業4件の設計業務にBIMを導入。うち1件は設計が終了し、施工段階に入っている。
 これまでの試行や今回実施した自治体への調査などを通じて国交省では、設計内容を可視化できるBIMの導入が、庁舎に入居する官署、設計者、発注者といった関係者間のコミュニケーションに有効なことに加え、3Dモデルが仕様の検討などを容易にすることにも役立ったとしている。
 仮設計画の検討への活用が、施工者の社内教育や作業員への周知に有効に機能することも確認。各段階、各場面でBIMの利用目的を検討し、導入することで効果を高めることができるとの見解を示している。
 今回、自治体の現状を把握する目的で実施したアンケートを踏まえ、BIMの裾野を広げていくためにも、調査結果やガイドラインの内容について、機会を捉えて情報提供していくという。
 加えて、現在進行中の4件を含め、今後もガイドラインを活用して営繕事業でのBIMの導入実績を蓄積。その効果や課題を把握し、今後の方策の検討などに役立てていく考えだ。

国交省/BIM導入で自治体アンケート実施/活用事例まだ少数

《日刊建設工業新聞》

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