労働者1人あたりの生産量、2014年度は5年ぶり下落 画像 労働者1人あたりの生産量、2014年度は5年ぶり下落

マネジメント

 日本生産性本部が「日本の生産性の動向 2015年版」を発表した。2014年度の日本の労働生産性動向などをまとめている。

 労働生産性とは”生産量や付加価値額を労働者数で割ったもの”で、労働者1人が生み出す成果を示す指標。2014年度の日本の労働生産性は770万円となった。金額そのものは前年度から上がっているものの、物価指数を加味した実質で見ると前年比1.6%のマイナスで、2009年以来5年ぶりに減少に転じている。上昇傾向ではあるものの、物価上昇に見合う水準ではなかった。

 産業別に見ていくと、プラスとなったのは宿泊業(+0.4%)と金融保険(+0.1%)。宿泊業は外国人観光客の増加、いわゆるインバウンド需要が追い風になり、稼働率の向上につながっている。ただ、顕在化しつつある人手不足が解消されておらず、結果的に1人あたりの業務負担が大きくなっていることが指数としての労働生産性を押し上げる要因にもなった。労働力確保だけでなく、IT化やシステム化による負荷軽減、効率化を図ることが重要になってくるだろう。

 主要17産業では、このほかの15業種はすべてマイナスになっている。特に卸売業(-5.6%)や建設業(-6.2%)、飲食店(-7.3%)といった業種は落ち込みが激しい。2014年度は消費増税もあり、売上げ自体の下落が大きかったため、労働時間などの調整が進められたものの、売上げ下落をカバーしきれなかったという結果になっている。

 ただし、2015年度に入ってからの動向を見ていくと、宿泊、保険金融に加えて小売、情報通信、生活関連サービス、複合サービスの4業種が労働生産性がプラスへ転じている。全体としても製造業と医療福祉を除く15分野で2014年度の上昇率を上回る動きになっており、改善傾向にある見通しだ。

 2014年(暦ベース)の指標を国際的に比較すると、OECD加盟34か国中、日本は21位(768万円)で、2005年以来変動がない。主要7か国(アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・イタリア・カナダおよび日本)では最下位の7位となっている。

 国際ベースの労働生産性はGDPを就業者数で割る形で算出している。労働生産性向上に向けては、経営効率化などに加え、約20年間大きな変化のないGDPそのものの向上が必要と、日本生産性本部は分析している。

 なお、経営革新や技術革新など広義の技術進歩を示す指標である「全要素生産性(TFP)」を見ると、日本は上昇トレンド。2013年は+1.5%でOECD主要19か国で韓国に次ぐ2位になっている。2010年から2013年の年率平均では+0.8ポイントで、同じく19か国で第4位をマークしている。金融危機でGDPが落ち込んだ2000年代後半の-0.4パーセントから大きく改善しており、国際比較での水準も上がっている。

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《こばやしあきら》

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