半導体グローバル再編は2016年に「つづく」 画像 半導体グローバル再編は2016年に「つづく」

インバウンド・地域活性

 2015年、半導体業界で大型再編が相次いだ。市場成長が鈍化していることに加え、モノのインターネット(IoT)の普及拡大で産業構造が変化していることが背景にある。国を挙げて半導体産業の振興を掲げる中国メーカーの台頭も目立った。16年も国境を越えたM&A(合併・買収)の火種はくすぶる。

 ルネサスエレクトロニス、東芝など日本の半導体メーカーの動向にも視線が集まる。 米調査会社ICインサイトによると、15年の半導体業界のM&Aの合計金額は1020億ドル規模で過去最高となる見通し。実際、オランダ・NXPセミコンダクターズが米フリースケールセミコンダクタを約118億ドルで、米インテルが米アルテラを167億ドルで買収することを決めるなどビッグネームの大型買収が相次いだ。

 大型再編の理由は大きく二つある。一つは半導体市場の成長が鈍化する中、規模拡大による収益維持が不可欠になっていること。もう一つは半導体を組み込む応用製品のアプリケーションが変化していることだ。

 これまで主役はパソコンやスマートフォンだったが、今後はIoT技術の進化で自動車や産業機器の電装化が進む。このため「(車などの)新分野での競争力アップ、新分野への参入という二つの目的でM&Aが起きている」とIHSグローバルの南川明主席アナリストは説明する。

 活発化する業界再編の中で、見逃せないのが中国勢の動向。台風の目は政府系の清華紫光集団。紫光集団はハードディスク駆動装置(HDD)大手の米ウエスタンデジタル(WD)に出資しており、そのWDは米サンディスクの買収を決めた。

 サンディスクはNAND型フラッシュメモリーの開発・製造で東芝と提携関係にある。米調査会社ガートナーのジョー・アンスワースリサーチバイスプレジデントは「紫光集団はWD・サンディスクを通じて、東芝の技術にアプローチしてくるだろう」と指摘する。中国メーカーの動きは、日本の半導体産業の行方を大きく左右する一つの要因になっている。

日本の起点は東芝、ルネサス、セイコーインスツルか
 ここ数年、日本の半導体産業では大手メーカーを巻き込む複数の再編が起きた。2013年にはエルピーダメモリが米マイクロン・テクノロジーに買収され、14年にはパナソニックが製造でイスラエルのタワーセミコンダクターと提携。そして15年には富士通とパナソニックのシステムLSI事業を統合したソシオネクストが発足した。16年も再編の火種はくすぶる。起点になりそうなのは東芝、ルネサスエレクトロニクス、セイコーインスツル(SII)の3社。

 東芝は不適切会計を受け、半導体のディスクリート(単機能)とシステムLSIの構造改革に動いた。しかし両分野の収益は「ようやく黒字を確保できる程度ではないか」(半導体装置メーカー幹部)との指摘が上がる。

 室町正志社長は11月27日の記者会見で半導体事業について「分社化・IPO(新規株式公開)は検討課題」との考えを示した。主力のNAND型フラッシュメモリーや、好調な車載向けパワー半導体などを残し、不採算のディスクリートとLSIは売却し、他社を巻き込む再編を引き起こす可能性がある。

 ルネサスの柴田英利取締役執行役員常務兼最高財務責任者(CFO)は「提携先を主体的に探す」と意欲をみせる。まずモノのインターネット(IoT)に欠かせないコネクティビティー(相互接続)分野に照準を合わせ、攻めのM&A(合併・買収)を仕掛ける。

 セイコーホールディングス(HD)傘下のSIIは半導体事業を分社化し、日本政策投資銀行との共同出資で新会社を設立し1月に始動する。中村吉伸セイコーHD社長は「積極的に同業他社との連携を探っていく」と話す。

 いまだにアナログ半導体の開発・製造は技術者の経験に依存する部分が多いため、各社は安定的な収益を上げてきた。だが今後、アナログ分野でも中国が競争力を高める可能性がある。SII幹部は「新会社に仲間を集めるのはそう簡単ではない」と認めるが、「“オールジャパン”で戦う体制を整えることが必要」と強調する。
(文=後藤信之)
 
《ニュースイッチ by 日刊工業新聞》

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