【地方発ヒット商品の裏側】海外アパレルも注目する世界一薄いシルク「フェアリー・フェザー」 画像 【地方発ヒット商品の裏側】海外アパレルも注目する世界一薄いシルク「フェアリー・フェザー」

インバウンド・地域活性

 さっそく会社に戻って話をしてみると、当初はそんなものが本当にできるのかと、社員からの反応は微妙なものだったという。しかし、当時一番の年長者だったベテラン職員が、「織り機にかけるまでの準備ができれば、私が織るよ」と話を切り出す。それで、齋藤氏の腹は決まった。

 世界一薄い絹織物を作るには、世界一細い生糸が必要になる。当時市場に流通していた糸のうち、最も細いものは16デニール。ならば、新しい織物につかう生糸は、その半分の細さで行こうと、齋藤氏は生糸を特注できる業者を探し始めた。

 ちょうどその頃に、齋藤氏はある噂を耳にする。医療用の繭糸を手掛けるある県内のメーカーが、手術の縫合用に今までにない細さの糸を開発したと。さっそく話を聞きに行くと、それは「三眠蚕(さんみんさん)」と呼ばれるもので、1日における睡眠数を4回から3回に減らすことで、未成熟な蚕を産み出す技術だという。こうして体が発達しないまま成長した蚕は、通常よりも細い糸を吐いた。

 だが、結局いくつかの要件が満たせなかったため、開発された繭糸は採用が見送られていた。ならばそれを引き取らせてくれと、すぐに齋藤氏は話を持ちかけたという。こうして人間の髪の毛の約1/6の細さという、世界一細い繭糸を手に入れることに成功した。

「しかし、その後もこの繭糸を巡っては、いくつもの問題が発生しました。そのため、織り機にかけるまでの準備だけで、かなりの開発期間が必要だったんです」

 例えば、三眠蚕は強度が無いため、そのままでは会社の織り機で扱えない。結局、強度を上げるために撚糸を行うことになるが、これは地元の東北撚糸に頼み込んで、難しい作業を何とか引き受けてもらったという。さらに、先染めの工程でも、従来のように染料の温度を上げると繭糸が溶けてしまい、色染めの職人を苦悩させた。

《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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