【地方発ヒット商品の裏側】海外アパレルも注目する世界一薄いシルク「フェアリー・フェザー」 画像 【地方発ヒット商品の裏側】海外アパレルも注目する世界一薄いシルク「フェアリー・フェザー」

インバウンド・地域活性

 齋栄織物でも当初はスカーフ用に生地を生産していたようだ。しかし、ファッションがデニムを中心としたカジュアル志向に推移する中で、スカーフの売り上げは年々減少。そこで齋栄織物では、新たに先染織物の生産に着手することになる。先染織物とは文字通りに生糸をあらかじめ色染めしてから織り上げたもので、タテ糸とヨコ糸の色を違えることで無数の色合いが生まれた。

 さらに、先染織物の生地は玉虫色の光沢を放つとともに、独特のハリ感を産み出す。この特徴に注目したのが、ウェディングドレスを手掛けるデザイナー達だった。彼らのドレスに先染織物が利用されることで、齋栄織物はその売り上げを大きく伸ばすことに成功する。その後、先染織物はタキシードやカクテルドレスなどにも用いられ、アメリカ市場に新たな販路も切り開いた。2005年頃までには、ブライダル市場が好調だったこともあり、社の売り上げの半分を占めるほどに成長していったという。

■世界一細い繭糸を求めて

 2008年のリーマンショックは齋栄織物に大きな打撃を与えた。当時はウォン安だったこともあり、アメリカのブライダル市場は、相次いで日本の繊維企業との取引を撤退。韓国やインドなどの安価な生地を扱うようになり、齋栄織物もそのほぼ全ての取引相手を失う。

 危機感を募らせていた齋藤氏は、その頃に一人の客から、こんなことを聞かれたという。「他にもシルクのメーカーは数あるが、御社は他と何が違うのか」と。もちろん、川俣シルクが得意とする薄手織物で、先染め織物という独自性のある製品を作ってはいた。しかし、それは必ずしも齋栄織物だけの個性ではない。今の会社には売りになる“何か”が足りないのではないだろうか?

 「だったら川俣は薄手のシルク産地なのだから、そこにもっと特化した商品があってもいいんじゃないかと。それで、世界一薄くて、軽い先染めシルクを作ってやろうと考えたんです」

《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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