インドネシア初の地下鉄工事本格化…「世界最悪」渋滞解消めざす 画像 インドネシア初の地下鉄工事本格化…「世界最悪」渋滞解消めざす

海外進出

 【ジャカルタ=遠藤奨吾】世界最悪とも言われるインドネシアの首都ジャカルタ市内の交通渋滞の解消に向け、同国初の地下鉄区間を含む都市高速鉄道システム(MRT)事業の南北線1期工事が本格化している。総延長23・8キロのうち、1期工事では延長15・7キロを6工区に分け、日本のゼネコンを幹事会社とするJVがそれぞれ施工を担当。地下区間では、清水建設・大林組・WIKA・JAYAJVが同国初のシールド工法によるトンネル工事を進めており、現地企業への技術移転を図りながら日本の技術力の高さをアピールしている。
 ジャカルタMRT南北線は日本が円借款で事業化を支援。本邦技術活用条件(STEP)の適用案件として、日本企業の優れた建設技術や車両、鉄道システムなどが取り入れられている。総事業費1420億円で、1期工事は18年中の完成を予定。今後、2期工事(延長8・1キロ)も事業化に向けて動きだす。
 清水JVが担当する「MRT南北線CP104-105工区」(受注額約194億円)の施工区間は、地下部分5・9キロのうち3・9キロが対象。4カ所の地下駅舎(スナヤン、イストラ、ブンドゥンガンヒリル、ステアブディ)、各駅を結ぶ2本のシールドトンネル(内径6メートル、延長2・6キロ)と開削トンネル(延長460メートル)を整備する。
 シールド工法によるトンネル掘削のほか、目抜き通りの「スディルマン通り」に作業帯を設けて地下駅舎を開削で構築するなど難工事が相次ぐ。13年8月に着工し、工事進ちょく率は50%を超えた。
 土圧式シールド工法での地下鉄工事は注目を集め、今秋行われたシールド機の発進式にはジョコ・ウィドド大統領も出席。日本の優れた建設技術に高い関心を示した。
 1号機は10月5日に工区南側の立坑から発進し、スディルマン通りの直下を掘進。325メートル地点のスナヤン駅に近く到達する。到達後、次のイストラ駅に向かって1号機を再発進させる。
 2号機は11月10日に同じ立坑から発進し、現在までに234メートルを掘削。現地の技術者や作業員はシールド工事の経験がないことから、現場ではOJTを中心に技術指導を実施しながら生産性の向上に取り組み、平均月進250メートルの達成を目指す。
 4カ所の地下駅舎(長さ200~220メートル、掘削深さ18~26メートル)は地下1階のコンコースと同2階のプラットホームで構成。スディルマン通り上に作業帯を設けるため、両脇の歩道、植栽された分離帯(3本)、全幅約70メートルの車道からなる通りの車線配置などを約1年かけて大幅に変更した。道路中央に立つ巨大な銅像(重さ420トン)をアンダーピニング工法で残したまま、直下に開削トンネルを構築している。
 車線数を減らさずに車線を移設し、道路中央部に作業帯を確保。大型車両の現場への入退場時間を午後10時~午前6時に限定するなど、交通への影響を最小限に抑えている。各駅舎では開削作業(地中連続壁本体壁利用逆巻き工法)が進み、プラットホーム床のコンクリート打設が完了しつつある。
 1000人超の作業員を投入し、最盛期を迎えた工事の指揮を執る清水JVの大迫一也建設所長は「1日に10~12メートルのスピードで掘り進み、月進目標はほぼ達成している。初の地下鉄工事で市民が期待しており、確実かつ無事に仕上げていきたい」と意気込みを語る。
 清水建設国際支店の大石哲士ジャカルタ営業所長は「現地に清水ファンを増やし、シンガポールに次ぐ第2の海外拠点として事業拡大に取り組みたい」と話している。

インドネシア初の地下鉄工事本格化/シールド機2台で掘進/施工は清水建設JV

《日刊建設工業新聞》

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