建設の重層化下請構造、基礎杭問題から国交省が中長期課題に選定 画像 建設の重層化下請構造、基礎杭問題から国交省が中長期課題に選定

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 横浜市内の傾斜マンションで発覚した杭工事のデータ流用問題を契機に国土交通省が進めている再発防止策の検討で、年内にまとまる対策に、中長期的テーマとして「建設工事の構造的課題」が挙がる見通しとなった。有識者の対策委員会で、データ流用の発生要因の一つとして建設業界の重層下請構造が取り上げられ、「役割分担が曖昧で責任の所在も不明確になる」との意見が相次いだ。この問題をきっかけに、かねて指摘されてきた業界構造の課題が改めて問われることになる。
 11月4日の初会合から4回目となった8日の会合では、施工データが流用された物件の安全性の確認や、原因を踏まえた再発防止策について本格的な議論を開始。この中で基礎杭工事に限らず、建設業界の構造的な課題を対策に盛り込む方向で意見が一致した。
 会合後の記者会見で深尾精一委員長(首都大学東京名誉教授)は、「施工段階だけでなく、地盤調査や設計を含めた各段階の責任と役割を明確化すべきだ」と強調。その上で「建設業がどうあるべきかを腰を据えて検討することもある」として、構造的課題については、再発防止策を出した後、別途検討の場を設けることになるとの見通しを示した。
 深尾委員長は「建設技術が進歩する上で(下請の重層化は)必然」とも指摘。施工に必要な下請構造と、責任が不明確となる重層構造とは分けて考えるべきだとの認識も示した。
 副委員長の小澤一雅東大大学院教授は、元・下請企業は契約関係で結ばれており、「重層になるほど誰が発注者に対して責任を持つのか役割分担が曖昧になりがち」と指摘した。
 重層下請構造について日本建設業連合会(日建連)は14年4月に出した提言で「可能な分野で原則2次以内を目指す」との方針を示し、今年3月に発表した建設業の長期ビジョンにも明記した。国交省も、有識者や業界団体などが参画する建設産業活性化会議が今年5月に出した「官民による重点的取り組み事項」で行き過ぎた重層化の回避をうたい、その具体策を検討するため工種・工事規模別の現状を把握する調査を進めている。

国交省/重層下請構造の問題検討/杭データ流用契機、再発防止策で中長期テーマに

《日刊建設工業新聞》

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