ごみを集めて登る山道、50キロのトレイルラン、記者が体験(4) 画像 ごみを集めて登る山道、50キロのトレイルラン、記者が体験(4)

インバウンド・地域活性

 未舗装の山道を走るトレイルランニング。生きた自然との近さは他にないスポーツかもしれない。

参加費を払って大会に出場すれば、専用の目印がコース上に設置され、道案内の人があちこちに立つ。危険を最小にして最大限自然に親しめるスポーツとなり得る。そんな中でも晩秋の山の中では「熊」の出没が気にならないわけではない。日本教育新聞社などがスポンサーとなり今年11月に初開催された大会「Fun Trails 100K&50K」でも、熊が近寄ってこないように鈴を鳴らしながら走る選手が見られた。日本教育新聞記者の筆者はその1人だった。

 ある新聞で目にした川柳である。「もし私/猫なら鈴で/ノイローゼ」。自宅で喉を鳴らす黒猫を前に、にやりとした1句だった。

 この大会で筆者が出場した50キロの部は制限時間が14時間。民家が多い一部の区間を除くと熊を遠ざけるために鈴を鳴らすことができる。25キロ地点を過ぎ、人里からは徐々に離れていく。熊が好むというドングリが大量に落ちている区間に差し掛かる。安全には十分な配慮があった大会だが、鳴り続く鈴に精神を病むことはなかった。鈴を持ってきてよかった。

 買ったばかりの靴が路面に合わず悪戦した下り区間は終わった。ほとんどを占める上り坂では歩く選手が少なくない。リュックサックを背負った姿は「遠足」のようにも見える。33キロ地点を過ぎたあたりからは、主催する現役トレイルランナー奥宮俊祐さんが「50キロの部で最大の難所」という上り坂に差し掛かる。標高400メートル付近から800メートル付近まで一気に上る山道だ。

 「トレイルラン」とはいいながら、こうした登りで、多くの選手は歩く。見守るボランティアに「先頭はどうでしたか」と尋ねると、「歩いていました。ここから走れば追いつけますよ」と冗談混じりの答えが返ってきた。

 この大会は、道中で見つけたごみを拾って集めることが選手に課せられている。上り坂は義務を果たす絶好のチャンス。ウエストバッグに入れたゴミ袋は少しずつふくれていった。

 苦しんだ下り区間とは裏腹に、選手全体のスピードが落ちる登り区間では調子が上がる。狭い山道だが九十九折の一角で休む選手を何人か追い抜き、40キロ地点を通過。残りは16キロだ。
日本教育新聞

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