会期中にもロボット進化! 国際ロボット展は眠らない 画像 会期中にもロボット進化! 国際ロボット展は眠らない

インバウンド・地域活性

 ロボ展は眠らない―。国際ロボット展は一般展示が終わった後もモーター音が響き渡る。各ブースでは夜遅くまで技術者が改良を重ねている。初日と最終日では、ロボットの外見こそかわらないものの、中身が総入れ替えされているロボットも少なくない。会期中のロボットたちの進化は目覚ましい。

限界まで悪あがきするのが、ロボット技術者の性
 「二日目に新しいロボットが組み上がりました。現場で限界まで悪あがきするのが、ロボット技術者の性(さが)ですかね」。秋田県立大学の斎藤敬准教授は一息つくと、また新しいロボットを組み立て始めた。最終日の前日の夜にハンダごてを握る。会期中は毎晩ロボットの開発や改良に費やした。

 二日目の夜に汎用(はんよう)移動ロボ「カラドリウス3’」にリフトアップ機能を追加した。このロボットはリールに巻いた帯鋼を送り出して足を伸縮させる。これまで同機構を伸縮アームとして使っていた。剛性を高めてロボットの足としても使えるようにした。「秋田はいま雪が降っている。東京から帰ったらすぐに除雪ロボとして機能を実地検証したい」という。

 ロボットは実際に会場で使うと本質的でない細かなバグがたくさん出てくる。東京都立産業技術研究センターは初日の夜に観光案内ロボットの再起動時間を30分から5分に短縮した。案内ロボは2本の電池を搭載できる。電池交換の際に制御用パソコンの電源が落ちないよう、片方を外しても、もう片方から給電されるという工夫だ。

 ただ会場で何度が交換していると、つい2本とも電池を外してしまうことがある。そのたびに制御用パソコンがダウンし、ロボットの再起動に30分かかった。これでは展示にならないと、シャットダウンが起こることを前提に起動方法を改良した。一見するとささいな改良だが、実用化する際には現場運用性を決める大事なポイントだ。

「その現場に応じた修正がたくさん」
 都産技研ロボット開発セクターの坂下和広セクター長は「展示ブースはできあがってみると設計図通りではなく、5cm以上の寸法誤差があった。ロボット用の地図を簡単に書き直せるようにするなど、その現場に応じた修正がたくさんある。改良を重ねて信頼性の高いロボットに仕上げていく」という。

 都産技研の案内ロボは国際ロボット展で初めて一般来場者を案内した。「ロボットの歩くスピードや会話の間の最適化など、実際にたくさんの人に体験してもらってわかることは多い。会話が長く止まったら合いの手をいれるなど、ちょっとした工夫で会話が続く。改良点を洗い出してサービス力を磨いていく」とデータ収集に余念がない。

 立命館大学ロボティクス学科のヒューマノイドシステム研究室も大学院生4人が毎晩改良を重ねている。搬入時には初展示の脚車輪ロボットに制御プログラムの移植が終わっておらず、デモンストレーションできる機能が限られていた。展示終了後は宿泊先のホテルの門限ギリギリまで粘って開発を続けた。東京の夜を楽しむ余裕はなかった。二日目の夜にプログラムの設定ミスを突き止め、4人で歓声を上げた。黒瀬裕一郎大学院生は「搬入時にはできなかった4脚走行など、新しい機能をみせられる」と顔をほころばせる。

「少しでも多くチャレンジ」
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の展示ブースでは、産業技術総合研究所のヒューマノイド研究グループが毎夜、実証試験を重ねている。NEDOはトンネル事故の災害現場を再現し、ヒューマノイドが調査や作業を実演する。産総研の「HRP2改」は、がれきなどの不整地を歩いて、トラックのフロントガラスに刺さったパイプを抜き、運転席に負傷者が残っていないか確認する。

 産総研の金広文男研究グループ長は「研究室では不可能な規模の災害現場を再現してもらった。少しでも多くチャレンジしてノウハウを積み上げる」という。実際に作業を繰り返し、毎回その様子を記録している。苦手な動作や転倒、フリーズなど動きを分析し、バグを一つひとつつぶしていく。NEDOの河内山聡主査は「初日より二日目、二日目より三日目と、毎日ロボットの作業が早くなっていく」という。操縦者の習熟速度や効率よくバグをつぶすノウハウは展示できない財産だ。

 初日と最終日では、動いていなかったロボットが働いていたり、新しい機能が追加されていたりと見所が増えている。万全を期して準備してきたロボットも、現場で動かせば動かすほど改良点が見つかる。来場者に「こんな機能はないのか」と問われれば、その夜のうちに実現してしまうのが技術者魂だ。この改善力が本当の見所なのかもしれない。
(文=小寺 貴之)

会期中にもロボット進化!国際ロボット展は眠らない

《ニュースイッチ by 日刊工業新聞》

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