【まちてん】バックパッカーならではの旅行予約サイト

インバウンド・地域活性

Voyagin 代表 高橋理志氏。A.T.カーニーで経営コンサルティングに従事した後、ベンチャーへの参画を経て、Voyaginを立ち上げた
  • Voyagin 代表 高橋理志氏。A.T.カーニーで経営コンサルティングに従事した後、ベンチャーへの参画を経て、Voyaginを立ち上げた
  • 外国人旅行者向けに、ガイドブックに載っていない現地体験が探せる「Voyagin」(ボヤジン)
  • 新宿で有名なロボットレストラン。巨大なロボットとコンパニオンが華麗なショーを繰り広げる人気のスポットだ
  • 相撲部屋の見学も大人気。迫力ある相撲取りの稽古の様子を目の当たりにできて、大興奮のスポットだ
  • インバウンドで街づくりをするためのヒント。長野県のスノーモンキーの事例。人気が出た後で、インフラを整備
  • 飛騨高山の白川郷も人気スポットの事例の1つ。まずインフラを整備して、多言語化することで、インバウンドを呼び込んだ
  • 岐阜県の刀鍛冶体験は、アクセスの悪い場所で、体験料金も34,000円だが、毎日10件以上の外国人来訪者があるそうだ
  • インバウンドで街づくりをするヒント。魅力的な資源、インフラ整備、情報発信、実体験、感動のシェアというサイクルをつくる
 日本にやって来る旅行者向けに、ガイドブックに載っていない現地体験が探せる旅行サイト「Voyagin」(ボヤジン)。このユニークなWebサイトを立ち上げた高橋理志氏が、地方創生イベント「まちてん」の初日に行われたカンファレンス「エクスペリエンス編」に登場し、Voyaginを立ち上げた経緯と、そこで学んだことなどについて語った。

 高橋氏が2011年にVoyaginを開設した当初は、まだインバウンドという言葉も、ほとんど知られていなかった。なぜ、そんなときに同氏はVoyaginを立ち上げたのだろう? 

 学生時代はバックパッカーとして世界中を旅する若者だった高橋氏。現地で友達をつくり、なかなか行けない場所に連れて行ってもらった経験が何度もあった。そんな経験を社会人になってからも続けてみたいという思いがあったそうだ。

 最近にわかに注目を浴びている「民泊」のAirbnbも、2009年の段階からホストとして参加しており、自分の空き部屋に外国人旅行者を泊めたりもしたそうだ。

「その際に外国人から“明日、何をやればよい?”“何を食べればよい?”といった相談をよく受けた。そもそも外国語に対応していない情報が多く、欲しい情報が探せなかったり、たとえガイドブックに情報が載っていても予約が面倒ということもあり、地元の人にもっと話を聞きたいというリクエストが強いことに気づいた」(高橋氏)

 もともと外国人との交流が好きだったこともあり、最初は2、3人の友人と「面白そうだからやってみよう」という軽い気持ちでスタートさせたのが始まりだった。そのようなキッカケで始まった「Voyagin」だが、現在では日本全国で1,400の体験ができるメニューが用意されるまでに成長した。体験メニューは実に多彩で、日本人でも面白いと感じられるものが多い。

「たとえば寿司づくりをしたり、芸者のコスプレをしたり、さまざまな体験がサイト上から簡単に予約できる。123ヵ国、年間で3万人の外国人がVoyaginを通してユニークな体験をしている」(高橋氏)

 外国人からの反響も大きい。「とにかく凄いショーだから、絶対に行くべき!」というコメントをもらっているのが、新宿のロボットレストランだ。大人気のロボットショーの10%程度はVoyagin経由で予約されている。また日本ならではの相撲部屋見学も人気が高いそうだ。これはガイドがいなければ絶対にいけない場所だ。

 このように、従来なかなか外国人が行けなかった場所に、Voyaginがインターネットを通じて導いている状況だ。高橋氏は、人気ツアーを通じ、インバウンドで街づくりをするためのヒントについて触れた。まず1つ目の事例は長野県のスノーモンキーだ。ただサルが温泉に入るだけなのだが、外国人にはなぜか大人気。この感覚は日本人には理解できないかもしれない。

「実は、長野オリンピックが開催されたとき、たまたま外国人が見つけて口コミで広がったものだ。そこで現地までのアクセスをよくしたり、多言語化を進めるなど、後追いで施設を充実させ、より多くの外国人旅行者を呼び込めた成功例だ」(高橋氏)

 2つ目の事例は飛騨高山の白川郷だ。日本で里山の代名詞のような存在になった白川郷だが、ここも旅行者の7~8割が外国人だ。こちらは前例と真逆で、まずインフラを整備して、多言語化(英語、中国語、タイ語に対応)することで、外国人が来やすくなったことが成功の要因だ。

「驚くことに、いま現地では小学生までにインバウンド教育をしている。外国人にあったら逃げないで、ハローと言ってください、という教育だ。旅行先で現地の人がどんな接し方をしてくれたかは重要。子どもまでフレンドリーに接してくれると、日本は凄いと好印象を与えられる」(高橋氏)

 そして3つ目の事例は岐阜県の刀鍛冶体験だ。これはインバウンドの世界では、まだメジャーではないが、Voyaginに載せた途端に人気が出たものだ。アクセスの悪い場所で、体験料金も34,000円という高額にもかかわらず、毎日10件以上の外国人来訪者があるそうだ。

 高橋氏は「本当にその場所でしか体験できないことをしっかりと情報として発信すれば、どんなに値段が高かろうが、どんなにアクセスが悪かろうが、外国人観光客はやって来る」と強調する。魅力的な地域の資源を見つけ、インフラを整備し、情報を発信して、実際に体験してもらう。その感動をSNSなどでシェアしてもらうことで、より認知度が広まるという好循環のサイクルをつくり出す。それがインバウンドで街づくりをするヒントになる。とはいえ、一番難しいのは、魅力的な地域の資源を見つけることだ。

「魅力的な資源とは日本固有の日常だ。それをどう見せていくか。お茶を栽培していれば、茶摘み体験をさせてあげたり、漁師であればカキの殻剥きをして新鮮な魚介類を食べさせてあげる。身近な地元の祭りに参加してもらうなど、自分たちの日常と外国人をいかにつなぐかということが大切だ」(高橋氏)

 最後に同氏は「うまくインバウンドを進めるためには、とにかく諦めずに続けることが重要。外国人相手なので、なかなか成果も出づらいが、続けていくと足し算が掛け算になっていく。Voyaginも3年ぐらいは集客できず、役員無給の時代が続いたが、試行錯誤しながら続けていくことで、大変よいサイクルに入れた。チームジャパンとして、もっと外国人の皆さんに日本の良さを伝えていきましょう!」と聴衆に呼びかけていた。

【まちてん】“ガイドブックにない現地体験”で訪日外国人を呼び込む!

《井上猛雄》

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