【国際ロボット展】人工筋肉内蔵「マッスルスーツ」に新たな展開、圧縮空気不要のスタンドアローンタイプも 画像 【国際ロボット展】人工筋肉内蔵「マッスルスーツ」に新たな展開、圧縮空気不要のスタンドアローンタイプも

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 東京理科大学発のベンチャー企業「イノフィス」は2日、東京ビッグサイトで開催中の「2015国際ロボット展」で、腰補助用「マッスルスーツ」に関する新たな取り組みを発表した。

 マッスルスーツは圧縮空気の力で伸縮する人工筋肉を用い、前傾姿勢から体を起こす作業を補助するために開発されたもの。01年の開発当初は要介助者の日常生活をサポートすることを目的としていたが、06年からは介助者の腰への負荷を軽減することに特化したスーツの開発に着手。14年に販売が開始された標準タイプでは、30キロの重りを持ち上げるだけの補助力を確保した。リュックサックのように背負うことで、慣れれば10秒程度で装着できるという。

 なお、従来では操作方法としてスイッチ、呼気スイッチ、タッチセンサーの3種類を用意していたが、今回新たにスイッチレスタイプを開発。一定角度以上で体を曲げ、一定時間動きを停止すると、自動で上体を起こす補助を行う。

 さらに、会場では新たに2種類のマッスルスーツが発表された。このうち、スタンドアローンモデルは、従来のようなコンプレッサーやタンクなどの用意を不要としたモデル。あらかじめ空気が封入された人工筋肉がしゃがみ込むと細長くなり、体積が1/2.5まで圧縮される。これによって圧縮空気が供給されたときと同様の力が発生するという仕組みだ。

 なお、30kgfの補助力を持つ標準タイプに比べ、スタンドアローンタイプの補助力は25kgf程度になるとのこと。デモでは20キロの重りを持ち上げていたが、作業者に大きな負荷は感じられなかった。構造が単純化したことで軽量化にも成功しており、電源のない屋外での農作業などにも利用が可能になるという。

 一方で新開発された屈曲補助モデルは、機能訓練や歩行イメージトレーニングを目的としたもの。力のかかる方向を変えることで、体を起こすのではなく、腿を上げる動作をサポートする。従来ならヘルパーが人力で行っていたリハビリ運動の代わりとして利用でき、現在は病院などで実証実験を進めているとのことだ。

 会場で紹介されたデモ映像では、自立歩行が困難になった高齢者が、マッスルスーツの力を借りてスクワットを10回、腿上げを10回行う様子が表示された。これを週に2回行うことで、3週間後には再び自分の力で歩けるようになったという。

 これら2モデルは来春の試験販売を予定。その他、会場では前傾姿勢の保持に特化し、人工筋肉ではなくバネを使ったモデル。さらには、車いすのように乗り込むことで、モーターの力で上半身を起こし、さらに人工筋肉の力のみで歩行を実現したモデルも紹介された。このうち前傾姿勢の保持に特化したモデルについては、すでに提供が開始されているという。

 なお、マッスルスーツの利用例として、会場では訪問入浴サービスを行うアサヒサンクリーンのスタッフによるデモが行われた。同社ではスタッフの作業負担軽減のため、約1年前からマッスルスーツを導入。作業スペースの広さにもよるが、ほぼすべての訪問入浴の現場でマッスルスーツを利用しているという。

 デモでは実際にマッスルスーツを着用したスタッフが、要介助者をベッドから抱きかかえ、浴槽へと移乗する作業が実演された。同社のスタッフの話では、1日に7、8軒の現場を回るということだが、腰への負担は明らかに軽減されたという。また、マッスルスーツを利用することで、移乗の動作がゆっくりと安全に行うことができ、利用者の安全も確保しているようだ。

 なお、訪問入浴サービスでは、圧縮空気を内蔵タンクから供給するタイプのマッスルスーツが利用されていた。このタンクの空気容量で、およそ15回程度の動作補助が行なえるという。

 マッスルスーツの利用は、要介助者からおおむね好意的に受け入れられているようだ。ある頸椎を損傷したある柔道経験者などは、体が大きいため、長年スタッフに申し訳ない思いをしていたという。しかし、マッスルスーツが導入されたことで、サービスを気持ちよく利用できるようになったとのことだ。
《丸田鉄平/HANJO HANJO編集部》

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