首都圏Look at/東京・葛飾区、職員寮を宿泊施設にリノベーション 画像 首都圏Look at/東京・葛飾区、職員寮を宿泊施設にリノベーション

インバウンド・地域活性

 東京・葛飾区が、廃止した職員寮をバックパッカー向けの宿泊施設に転用する事業を始める。総務省の「公共施設オープン・リノベーション推進事業」の初弾事業の一つ。リノベーションした建物を区が民間事業者に貸し出し、宿泊施設の運営を委託する。遊休化した公共施設の有効活用と観光客の誘致促進を狙った新たなスタイルの官民連携事業だ。

 ◇インバウンド需要獲得の一助に◇

 転用するのは旧柴又職員寮(柴又7の12の19)。帝釈天や矢切の渡しがあり、映画「男はつらいよ」シリーズの舞台としても知られる柴又地区にある。建物はRC造4階建て延べ1680平方メートルの規模で部屋は68室。1977年度に完成して職員寮として使われていたが、2005年度に廃止された後、そのままになっていた。

 区によると、柴又地区は「文化的なポテンシャルが高い地区」(担当者)だが、京成金町線柴又駅周辺に宿泊施設がないことが観光客誘致の課題になっていたことから、遊休資産の旧職員寮を有効活用するアイデアが浮上した。

 区は、公共施設を再生したい自治体と斬新なリノベーションのアイデアを持つ若手建築家らを引き合わせる総務省の新事業「公共施設オープン・リノベーション推進事業」のマッチングコンペティションに応募。宿泊施設のリノベーションで実績があるR.project(千葉県鋸南町)が、旧柴又寮に対し、外国人バックパッカー向けの安価な宿泊施設への転用を提案した。

 同社の案は、京成電鉄とタッグを組んで施設をPRするなど他企業と積極的に連携する点などで事業の実現可能性が高いと評価された。総務省が区に事業を委託し、区が施設を同社に貸し出し、運営業務を委託する形で実施する。

 改修後の宿泊施設の名称は「(仮称)柴又BASE(ベース)」。宿泊定員を120人程度とし、個人向け(定員2人)、相部屋(同4~6人程度)、家族向け(同4人)の3タイプの客室を用意。イベントなどを行う共用スペースも設ける。賃料は相部屋タイプで1人当たり3000円程度を見込む。

 「貸し主として、最低限のことはしたい」と区の担当者。外壁の修繕や屋上の防水工事、設備の更新や耐震補強などを区が実施した上で事業者に建物を貸し出し、内装工事は事業者が行う。設備の更新では、設置場所などに運営事業者の意見を反映させる。区が行う工事は年明けに発注する見通しで、15年度中に運営事業者と契約を結び、16年5月以降の開業を目指す。全体工期を短縮するため、区と事業者の工事を並行して行う可能性もあるという。

 区が工面する事業費は2カ年(15~16年度)で8000万円程度。不動産鑑定費用や改修費などとして15年度の第3次補正予算案に5000万円(総務省からの委託料1378万円を含む)を計上した。16年度予算案には5140万円の債務負担行為を盛り込む予定だ。

 区は今回の事業を「柴又地区や区内全域の活性化に効果があり、世界中からお客さまを迎える施設をつくる意義ある仕事」(営繕課)と強調する。地元商店街との連携強化や観光客と地域住民の交流イベントの企画など地域全体を巻き込んだソフト面の取り組みも展開し、観光客の誘致に弾みをつける考えだ。
日刊建設工業新聞

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