「CHO構想推進セミナー」レポート:企業はいかに従業員の健康管理をすべきか

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未病の考え方
  • 未病の考え方
  • 神奈川県CHO構想
  • 高齢化などから健康リスクは生産性に直接影響する
  • 経営者・管理職向けにゴルフ上達と健康増進をセットにする
  • 業務のモチベーションの多様化から、画一的なシステムやルールで縛っても効率はあがらない
  • モチベーション+ウェルネスという考え方
 神奈川県が推進する「CHO(健康管理最高責任者)構想」とは、企業や団体の従業員と家族の健康マネジメントを企業が管理し、企業の労働生産性を向上させるのを目的とする取り組みのこと。県は平成27年10月から応募のあった5社1団体の協力を得て検証を行っており、平成28年2月末に実証を終了する予定だ。

 実証終了に先駆け、県は11月4日に「CHO構想推進セミナー」を開催した。このセミナーではさまざまな識者による5つの講演が行われた。その内容から、最先端企業の健康経営戦略、実際の取り組みをレポートする。

■CHO構想のビジョン
 ひとつめの講演は「ヘルスケア・ニューフロンティアにおけるCHO構想」。このセミナーでは、最先端医療技術を使い、発病前の状態「未病」を治そうという提案が行われた。これから向かう超高齢化社会において重要なのは、健康で自立したお年寄りを増やすことと、それを支える社会をづくり。健康寿命日本一を目指しつつ、新たな市場と産業を創出するのが狙いだ。

 このセミナーの後半では、今年10月14~16日に開催された「未病」の価値を発信するイベント「ME-BYO Japan 2015」の様子も紹介された。そしてセミナーの最後には、神奈川県が目指すCHO構想「健康・安全・幸福を持続する社会の構築」というビジョンが発表された。

■社員の努力だけでは無理、職場環境を変える
 続いて行われた「CHOが健康投資を促す社会の潮流」の講演を行ったのは、東京大学医学博士・古井裕司氏。古井氏は、システム系・営業・販売系の過酷な労働環境を例にあげ、「健康は二の次」になっている現代社会に異議を唱える。質の良い睡眠が必要と思っていても、自分だけの努力だけでは改善できないケースが多いのが現状。このような職場の環境を改善させるには、経営者が現場を知り、環境を変える努力をする必要があると言う。

 3つめの講演はCHO構想推進事業に参加している横須賀商工会議所による「中小企業経営者の生活リズムと健康管理」。登壇したのは専務理事・菊池匡文氏。

■ゴルフ上達と結びつけ健康増進
 菊池氏によると、中小企業の経営者は、規模が小さければ小さいほど「健康管理の意識は高い」そうだ。しかし、そんな彼らは自動車で移動することが多く、趣味のゴルフくらいしか運動を行わない傾向があるそうだ。そこで、横須賀商工会議所は、「ゴルフの上達につながる」というゲーム性の高い健康プログラムを組んだ。

 このプログラムには、「体幹レッスン」や「スイングレッスン」、「食事プログラム」のような複数の項目が含まれており、ゴルフを上達しながら健康も改善するという楽しそうなプログラム。菊池氏は「押し売りではなく自然な伝播を期待したい」と語る。

 株式会社リンクアンドモチベーション・川村宣主氏による「ウェルネス経営の考え方と実践」の講演では、組織と個人に変革の機会を提供し意味のある社会を実現させる「モチベーションエンジニアリング」を提案していた。川村氏は仕事に対するモチベーションが高まる様々なケースを紹介した後に、同社が目指すウェルネス経営の概念を解説。

■健康経営の意義
 その概念は、BtoB領域では「商品市場・労働市場への適応ができるモチベーションカンパニー」、BtoC領域では「主体的・自律的に自分のキャリアを切り開くアイカンパニーの創出」とする。このような経営を推進するためには、「従業員の生活習慣に加えて、仕事・上司・職場まで捉える必要がある」と結論づけていた。

 つまり、経営をドライブする要素として従業員の「モチベーション」を考えたとき、従業員の生活習慣、職場環境を整えることは、生産性や企業価値向上につながる。効率やコストに関する直接的なツールや仕組みを導入することは、短期的には効果が期待できるが、ともすると仕組みやルールが優先され、「健康は二の次」という発想になる。そうではなく、長期的な視点で従業員の健康や職場環境を考えることが健康経営であり、持続的な企業成長を可能にする原動力となる。



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《佐藤隆博》

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