中国政府が1級建設業者の受注額下限値を撤廃、日本の要請受け入れ
海外進出
中国政府が、中国国内で活動する国内外の総合建設業者に付与する格付けは、資本金や中国国内での売り上げ実績、従業員数などで決められ、特級と1~3級の4段階に分かれている。日本の建設会社で特級の格付けを持っているところはなく、鹿島、清水建設、大成建設、フジタなどが1級の格付けを取得して同国内で活動している。
1級業者が受注する工事について中国政府は従来、日本のJPタワー(東京都千代田区)に相当する高さ200メートルを超える超高層ビルの単独受注ができないといった規模の制限は定めていたが、金額で受注範囲を規定する制限は今年1月までは設けていなかった。
1級の格付けを持つ日系ゼネコンの現地法人は、大成建設以外、中国資本が入っていない。100%外資となる現地法人には、別の規定によって中国政府や企業が発注する工事の受注が認められていない。一方、日系メーカーや他国法人など100%外資が発注する工事の受注には制限がないことから、例えは日系メーカーの大規模工場の建設を受注した後に、その建物のメンテナンスや改修といった工事を受注することはできた。
ところが1月に3000万元未満という下限値が突如設定されたことによって、1級業者はこうした改修のような小規模工事から排除されるようになった。このため日系ゼネコンの一部には、下限値の制限をクリアできる下位等級に属する子会社を設立する動きも出ていたという。
日中経済パートナーシップ協議に参加した国交省は、日系ゼネコンや在中国日本商工会議所の要望を受けて下限値の撤廃を中国側に要請。その結果、10月に中国政府が下限値を撤廃し、再び3000万元未満の工事の受注が認められることになった。
ただ、100%外資の建設会社が中国の政府や企業の発注工事を受注できないとする制限は依然残っており、国交省は引き続き規制の緩和を求めていく構えだ。
中国政府/1級業者の受注規制緩和/下限値を撤廃、日本側の要請受け入れ
《日刊建設工業新聞》