介護食、地方メーカー拡大のカギは国産・産地発 画像 介護食、地方メーカー拡大のカギは国産・産地発

インバウンド・地域活性

 介護食品の需要拡大をにらみ、高齢者向けの商品作りに取り組む生産・加工グループが出てきた。ムース状にした野菜、軟らかくした食肉加工品など、高齢者がのみ込みやすいよう工夫する。大手メーカーの介護食品は原料に輸入品を使うのが主流であることから、国産を使う“産地発”の6次化商品をアピールし、介護施設や病院などへの販路拡大を目指す。

・広がる市場、所得増へ

 宮崎県都城市の養豚農家でつくる食肉加工販売業「観音池ポーク」は、「なめらかつるるんメンチカツ」(約50グラム)を販売している。メンバーが肥育するブランド豚「観音池ポーク」のモモ、ウデ肉を2度びきで軟らかくし、中に入れる野菜も小さく刻んで蒸してあるのが特徴だ。

 店頭価格は135円。発売から約半年、高齢者や病気で食べ物をうまくのみ込めない人が買っていく。馬場通社長は「売れ行きが好調とまではいかないが、介護食は今後伸びる市場分野だ」と期待する。新たな介護食品としてハンバーグの商品化も検討中だという。

 福島県の農家らでつくる「しらかわ五葉倶楽部(くらぶ)」(白河市)は昨年11月、約7億円を投じ、介護用ムース食品などの工場を稼働させた。近隣の農家やJAなどから野菜を調達。約40種類を商品化し、スーパーや大手給食業者などに販売している。

 同倶楽部は「介護用ムース食品はまだなじみが薄いが、国産という強みを生かして販路を広げ、農家の所得向上に貢献したい」と意気込む。2年後には売上額3億円を目指している。

 介護食品の製造・宅配を手掛ける山形市の「ミールサービス」は、軟らかくした和食総菜を全国の介護施設などに販売する。国産野菜の使用比率を高め、今年から約50アールの畑でタマネギの作付けも始めた。石井さち子社長は「安全・安心の国産に、今後需要は高まるのではないか」と展望する。実際に営業先には産地に対する問い合わせが増えているという。

 農水省によると、現在の介護食品の市場規模は約1100億円。多くは家庭料理や施設食で対応しているため、潜在的な市場規模は2兆9000億円に上ると試算する。同省は、介護食品市場の拡大が国産の活用につながるとし、見た目や栄養に配慮した介護食品を「スマイルケア食」と名付け普及を進めている。(川口知也)

国産使い介護食 “産地発”6次化戦略 「安全・安心」強み

《日本農業新聞「e農net」》

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