豪州原産の鳥・エミュー、放牧で農地再生 画像 豪州原産の鳥・エミュー、放牧で農地再生

インバウンド・地域活性

 佐賀県基山町の稲作農家、吉田猛さん(62)は、エミューの飼育から加工・販売の一貫経営に乗り出した。放牧により、高齢化で急増する耕作放棄地の解消につなげる。加工では町や企業、大学と連携し、エミューキーマカレーなどの特産品を開発。エミューに地元の期待が高まっている。

 エミューの原産はオーストラリアで、ダチョウに次いで世界で2番目に背の高い鳥だ。国内では北海道で東京農業大学などが飼育している。

 吉田さんは、昨年11月に福岡県の企業から紹介され、3アールの休耕田に柵を設け4羽の放牧を始めた。「ダチョウより温厚な性格で、鶏を飼う感覚。草を食べて休耕田がきれいになる効果もある」と手応えをつかんだ。

 今年7月には農家の熊本富雄さん(66)らと、飼育から製品の販売までする「(株)きやまファーム」を設立。耕作放棄地の増加に頭を悩ませていた基山町も後押しして、9月には新たに、ひな25羽を増やした。

 思いがけない効果もあった。「去年はひっきりなしに荒らしていたイノシシが、エミューを放牧した周りではほとんど見られなくなった」と吉田さん。今後は、山間地に放牧し、エミューが雑草を食べながら走り回ることで、耕作できる環境の維持につなげる。

 エミューは、肉、脂、羽、卵と全て資源になり、吉田さんはその可能性に期待する。肉は、しっかりした赤身が特徴で、オーストラリアではカルパッチョなど火を通さない調理法も浸透しており、産学連携による需要開拓を狙う。

 14日には、エミュー肉を使った初の加工品「佐賀県基山のエミューキーマカレー」が九州自動車道基山PA(パーキングエリア)に登場した。きやまファーム、町、福岡県の食品企業が連携して開発した。

 今後は、羽を使ったアクセサリーや、脂を原料にした化粧品の開発を、九州大学などと連携して進めていく予定だ。

 エミューオイルは、保湿性や抗炎症作用の効果が期待される。その機能性成分を研究する九州大学農学研究院の清水邦義准教授は「基山町のエミューの脂成分は、オーストラリア産と一緒だった。エミューオイルを量産できれば、農家所得向上につながる」と見ている。

 吉田さんは「将来、エミューのふ卵技術を習得しながら、規模拡大を進めたい」と意気込む。

オーストラリア原産の鳥・エミュー 放牧で農地再生 佐賀県基山町

《日本農業新聞「e農net」》

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