拡大するハラール食品市場…複雑な認証体制のポイントとは? 画像 拡大するハラール食品市場…複雑な認証体制のポイントとは?

マネジメント

 東京ガーデンパレスにて、「中小企業経営診断シンポジウム」が開催された。同シンポジウムでは、中小企業診断士による複数の発表会が行われた。その中でも、昨今注目を集めているハラール食品についての発表内容を紹介する。

■拡大するハラール食品市場
 ハラール食品の発表を行ったのは、中小企業診断士の鐘井輝氏。鐘井氏からは、ハラール食品の現状と認証体制について話があった。なお、ハラール食品とは、イスラム教の作法に従って処理された食品のことをいう。鐘井氏によると、ハラール食品の世界規模は2015年時点では約6,000億ドルに上ると予測されているという。また、世界のイスラム人口は2010年時点で16億人であるが、2030年には22億人まで増えることが確実であるとのこと。このように、ハラール食品は規模が大きく、また、今後の拡大が期待できる魅力的な市場である。

■金銭的・時間的コストのかかるハラール認証
 イスラム法の下では豚肉などを食べることが禁じられているが、その他の食品でも加工や貯蔵、販売といった各工程で一定の作法が要求される。とはいうものの、ハラール食品の認証体制は、各国によってまちまちであるのが現状だ。マレーシアやシンガポールでは、国内統一基準が制定されており、政府直属の認証機関が存在する。また、オーストラリアでは、政府が必要最低要件を設けており、政府がハラール認証機関を認定する形となっている。

 では、日本はどうなのかというと、政府はハラール認証機関に関与しておらず、各認証機関が独自基準を設けているのが現状だ。しかも、その認証機関の数は約90(2014年7月時点)に上るという。これだけ多いと、どの認証機関を利用すればいいのか混乱しそうだが、それだけではなく、認証機関によって基準の見解が異なる場合もあるというのがやっかいだ。そうなると、ハラール食品に詳しいコンサルタントに依頼することになるが、鐘井氏によると「事前コンサルティング、認証申請、申請後フォローを合わせて、一般的に数十万かかる」という。

 また、金額的な負担だけではなく、時間的な負担も大きい。認証取得までの期間は、最短でオンライン申請後2週間程度とされているが、鐘井氏によると「平均で6ヶ月、最長で1年程度必要である」とのこと。書類の不備や査察の過程で指摘された事項を修整することを考慮すると、この程度の期間が必要になってしまうという。

■ハラール認証のポイント
 このように、大変な労力を要するハラール認証であるが、各工程で押さえておくべきポイントがあるという。まず、原材料調達工程については、主に使用する原材料がハラール対応しているのはもちろんのこと、付随的に使用する香辛料もハラール対応していないといけない。その原材料を輸送する物流工程については、ハラール品と非ハラール品をしっかりと分類しておく必要がある。加工工程についは、最終製品から検出されずとも、中間投入財に非ハラール品を使用することは許されない。それだけではなく、ハラール品を非ハラール品と接触させることもNGだ。つまり、ハラール品の専用ラインを設ける必要がある。

 次に包装工程については、ハラール対応した包材を使用することに加え、ハラールマークを添付しなくてはいけない。最後に、販売工程については、ハラール品を非ハラール品と分離して保管・陳列・提供することが求められる。つまり、各工程において、「非ハラール品を使わない」「ハラール品と非ハラール品を近づけない」というのが大きなポイントである。

 このように、日本国内では複雑な認証体制となっているハラール食品であるが、裏を返すと、ハラール食品の認証を取得することは、自社の強みとなり得る。観光で来日したイスラム教徒や在日イスラム教徒に食品を提供していくビジネスを展開する上で大きな武器となるであろう。なお、日本国内ではなく、イスラム圏への輸出や進出を図る場合には、国内で取得したハラール認証は意味を持たず、進出しようとするそれぞれの国のハラール認証が必要であることを留意しておく必要がある。
《まつかず・HANJO HANJO》

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